俳句の会

俳句の会「交譲葉」令和元年5月句会報告

2019年 06月 01日

開催日時  令和元年5.25(日)10:00~12:00

開催場所  生涯学習センター C―203会議室

参加者   宮内・小西・漆野・青木・小川・森川・菅原・松井の8名

投句は10名

兼 題   兼題「菜の花」

選 句   5点句(1),4点句(2)、3点句(3)、2点句(4),1点句(10)を選句した。

(5点句)

植田透けSLの影流れゆく・・・・・・・・・小西 小牧


(選評)

今頃SL列車が常時走っているところはないだろう。特別な日に運行されるSLを見に出かけたのであろう。折から、ちょうど田植えを終えたばかりの田の面は頼りなげに生えている苗をぽつぽつと浮かべた水面になっている。その水面に力強く走っていくSLの姿が映っているというのである。SL本体ではなく、田の面に移った影を詠んだところに面白みを感じて選んだ。(夢  心)

(4点句)

バブル去り菜の花明かりの跡地かな・・・・・小西 小牧

(選評)

時代も新元号令和となった。バブルで始まった平成も静かに終わった。社会は様々な要素で大きく変貌するが、経済は大きな要因である。

菜の花明かりの地もかっては別の施設であった。経済状況・世相を菜の花の跡地でうまく表現されていると思う。 (待糸 史敞)

風吹けど藁掴みゆく夏雀・・・・・・・・・・鷹   嘴

(選評)

青空に雀が飛んでいる。その燕が狙いすましたように地上に落ちていた藁、または細い枯れ枝を咥えた。そしてアゲインストの風に負けず飛び去って行った。

春に生まれた子の居る巣を補強するのだろうか。生きとし生きる生物の営みと自然の現象を17文字に切り取り描いた全体に力強く爽やかな句である。

(悠閑亭徹心)

(3点句)

雨上がる牡丹の紫紅さらに濃く・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心

菜の花の大海原や金の空・・・・・・・・・・・・・・武   美

母の日に届く荷物の不器用さ・・・・・・・・・・・・武   美

(2点句)

薔薇の咲く庭に夫婦のティータイム・・・・・・・・・鴇  香子
当番表薔薇一輪の後に出し・・・・・・・・・・・・ 小西 小牧

凛々しさや湧水川の花菖蒲・・・・・・・・・・・・・武   美

川風に幟はためく五月場所・・・・・・・・・・・・・待糸 史敞

(1点句)

月光に花菜の黄色不思議色・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心

ホロハラリ街路を化粧(けわい)す花水木・・・・・・悠閑亭徹心

菜の花や土手一帯に波打ちて・・・・・・・・・・・・鴇  香子

春の宵ゆるりと歩む老夫婦・・・・・・・・・・・・・鴇  香子

菜の花や揺れる想いを黄に染めて・・・・・・・・・・漆野 達磨

一輪の薔薇投げ入れる掃除人・・・・・・・・・・・・漆野 達磨

万葉集めくり探すは令和の字・・・・・・・・・・・・青木 艸寛

万葉の一隅煌めく令和かな・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛

なの花てふ電車ガタンコ流鉄線・・・・・・・・・・・鷹   嘴

菜の花が運河の土手に春を呼ぶ・・・・・・・・・・・待糸 史敞

(投 句)

風を切りポピーと競う電車かな・・・・・・・・・・・漆野 達磨

大川に菜の花黄色波打ちて・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛

白黄色大根水菜花盛り・・・・・・・・・・・・・・・夢   心

チーバ君背中で踊る新入生・・・・・・・・・・・・・夢   心

馥郁と香り出でたる樟若葉・・・・・・・・・・・・・夢   心

さんざめく視程の先まで菜花の黄・・・・・・・・・・菅原 互酬

ランドセル背なで燦めく挙身光・・・・・・・・・・・菅原 互酬

柿の花黄ばみかかるや住み浮かる・・・・・・・・・・菅原 互酬

岸辺舞ふ紋白蝶や菜の花黄・・・・・・・・・・・・・鷹   嘴

日の丸で令和即位を祝う家・・・・・・・・・・・・・待糸 史敞

句会後記(武  美)

真夏日となった25日にいつもより一回り小さい部屋で開催され、いつも以上に活発な意見交換や情報交換がなされました。特に季語の有無について熱く話し合いが行われ、季語は一つが基本だけれども季重なりや無季でも主題が明確ならば認めると、決まりました。
設立から7年が経ちます。良い会に参加しているとしみじみ嬉しく、これからも自然を楽しみ言葉探しを続けていこうと思います。

皆様に感謝。

(以上)