2021年 06月 02日
俳句の会「交譲葉」令和3年5月句会報告 |
① 開催日 令和3年5月22日(土)
② 開催場所 通信句会
③ 参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原・安居・松井の10名
④ 兼 題 「新茶」一切
⑤ 選 句 7点句(1)、4点句(2)、3点句(4)、2点句(3)、1点句(7)を選句した。
(7点句)
老いし母新茶と最中また眠る・・・・・・・・武小川寿歩
(選評)
活発に動き回ることもないが、介護が必要というほどでもない、年老いた母を温かく見守りながら穏やかに過ごす母と子の日常が伝わってくる。 (夢 心)
(4点句)
ご機嫌は阪神ゆえや夫の夏・・・・・・・・・小西 小牧
(選評)
阪神、ご機嫌の夫、夏の取り合わせが良く、勢いを感じます。(鷹 嘴)
ライダーの帽子の尖り風青し・・・・・・・・鷹 嘴
(選評)
暴走族でしょうか。中年ライダーの昔の思い出話の句なのでしょうか。
「ゆずりは」の会のメンバーの年齢層を知っているので、作句者は中年ライダーではない。若き日の思い出。
「心も逸(はや)り気も突っ張り尖り」青春そのものの感が、良く出ている俳句です。往々にして年を重ねるとどうしても
「おばんおじん臭く」なってしまいます。豪快に風を切って、青春真っ只中という、元気の出る俳句です。下五の「風青し」
の季語がぴったりです。 (菅原 互酬)
(3点句)
新茶の香楽しみつつのテレワーク・・・・・・悠閑亭徹心
剪り跡に早伸び出づる韮二寸・・・・・・・・夢 心
可視光線万緑の波浮び出し・・・・・・・・・菅原 互酬
新茶の葉噛んで心気の調ほる・・・・・・・・鷹 嘴
(2点句)
検査終えほっと安堵の新茶淹れ・・・・・・・小西 小牧
菖蒲湯で自慢の病歴ひけらかし・・・・・・・漆野 達磨
若筍が甘く浸みゆく京の味・・・・・・・・・青木 艸寛
(1点句)
亡き母に新茶供えて語りか・・・・・・・・・悠閑亭徹心
娘らの踊るかのよう藤の花・・・・・・・・・鴇 香子
爽やかな色味香り新茶汲む・・・・・・・・・夢 心
雷鳴も降雹もあり夏に入る・・・・・・・・・夢 心
山あいの宿主差し出す新茶かな・・・・・・・菅原 互酬
手を尽くし患家の淹れる新茶かな・・・・・・鷹 嘴
コロナ禍の続く今年も夏来る・・・・・・・・待糸 史敝
(投 句)
コロナ禍に可惜身命(あたらしんみょう)新茶喫(しんちゃのむ・・・・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心 とにかくも今年も手にす初鰹・・・・・・・小西 小牧
焙煎の工場で汲む新茶かな・・・・・・・・・漆野 達磨
母の日や今どき輝く紙人形・・・・・・・・・漆野 達磨
新茶飲み思い出語る老夫婦・・・・・・・・・鴇 香子
春の月照らされうごめくヤモリかな・・・・・鴇 香子
ほどよき湯新茶が放つ香り良し・・・・・・・青木 艸寛
五月川小鮒狙いて竿たれる・・・・・・・・・青木 艸寛
見上げれば湾を見下ろす五月富士・・・・・・武小川寿歩
紫に花色なりて莢豌豆・・・・・・・・・・・武小川寿歩
何もかも真っ新に包む五月蒼空・・・・・・・菅原 互酬
難病と闘う友に新茶贈る・・・・・・・・・・待糸 史敝
瓶にあるジャーマンアイリス生き生きと・・・待糸 史敝
⑥ 句会後記 (夢 心)
今回の句会で、私は「老いし母新茶と最中また眠る」を秀句として選び、同居している母と娘の機微を詠んだものと思っていた。ところが自作を語るによると、新茶と最中は遠く離れた母へ贈られたものであり、その母からの便りが詠まれているとのことであった。その話を句から読み取ることは難しいし、それはまた別の話になる。しかし対面句会であればそこまで話が深まるし、対面句会の意義があると思う。
外出自粛で身の回りの日常を詠むことが多い中で、旅先で詠まれた句には非日常の視点と感動がある。
80歳以上ということでワクチン接種の予診票が届いた。5月31日以降ワクチン接種が始まるという。ワクチンによる感染防止の効果が本物であるなら、いつまで続くか分からないコロナ禍の収束にも目途が立つであろう。
速やかに対面句会に復帰できることを願って止まない。 (以 上)