1..開催日時 令和元年6.22(土)10:00~12:00
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- 開催場所 生涯学習センター C―201会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・青木・森川・菅原・松井の7名 投句は10名
- 兼 題 兼題「夏野」
選 句 7点句(1),6点句(1)、5点句(1)、3点句(3)、2点句(2)、1点句(5)を選句した。
(7点句)
足先を虫が飛び逃ぐ夏野行・・・・・・・・悠閑亭徹心
(選評) この句は昔の夏野行の記憶を呼び起こしてくれました。この時季は名も知らぬ色とりどりの
小花が目を楽しませてくれ、つい花ばかりに目が向くのですが、時折、小さな虫が飛び出してきてびっ
くりさせられたものです。びっくりさせたのは人間の方でしょうが。夏野らしい一面が巧く切り取られてい
ると思います。(小西 小牧)
(6点句)
青もみじ遊女の寺やひそと在り・・・・・・小西 小牧
この句は、中七の遊女の寺という名詞一つが俗と聖が融合した独特の世界観を読み手に伝える。平清盛の遊女との故事、遊女の遺体の投げ込み寺、苦界から逃れる駆け込み寺等読み手は様々な事象を思い浮べたり、想像するのではなかろうか。
その世界により陰影と深みを与え、句情を高めているのがひそと在る青紅葉である。本来紅葉は楓の葉が秋に赤や黄色に色付いた様を言うが、ここでは楓の目が覚めるように青く美しくなった若葉を青もみじと言い、それが心なしか密やかに繁っているのである。
含意に富んだ佳き句だ。 (悠閑亭徹心)
(5点句)
見晴るかす夏野広々風渡る・・・・・・・・夢 心
(選評)
今の時期は、草原の緑がより一層強まり、見渡す限り遥か遠くまで続く。
その中に想像するに放牧された馬が草を食みそられの全てに優しく風が撫でて行く。
この眺めを5・7・5の文字に置きかえる。
この句はずばり最初の見晴るかすで広大な夏野を表現されている句であると思います。
(菅原 互酬)
(3点句)
様々の別れのありて麦の秋・・・・・・・・小西 小牧
花南天触れしその手にこぼれ降る・・・・・武 美
復員の夏野に立ちし兵一人・・・・・・・・待糸 史敝
(2点句)
つゆ弾くピアノソナタの演奏会・・・・・・菅原 互酬
腰痛む患者の庭に燕子花(かきつばた)・・・鷹 嘴
(1点句)
虹色の雨降り注ぐ紫陽花や・・・・・・・・鴇 香子
夏の野に照る陽降る雨強さ増す・・・・・・青木 艸寛
命果つ蜥蜴の腹の白さかな・・・・・・・・武 美
訓練の講評を聴く木陰かな・・・・・・・・夢 心
父の日に今年はなにか来るらしい・・・・・待糸 史敝
(投 句) 晴天の夏野の驟雨戸惑えり・・・・・・・・悠閑亭徹心
夏野吹く風の薫りに身を浸し・・・・・・・悠閑亭徹心
夏野駆け風船追いし妹と・・・・・・・・・小西 小牧
子ども等の見え隠れする夏野かな・・・・・漆野 達磨
停車場に持ち込む季節さくらんぼ・・・・・漆野 達磨
少子化の心配無用メダカの目・・・・・・・漆野 達磨
さやさやと風吹き渡る夏野かな・・・・・・鴇 香子
梅雨寒のもう一枚の毛布出し・・・・・・・鴇 香子
縁に座す半日梅雨を眺め居り・・・・・・・青木 艸寛
無念なり新緑見上げ吾一人・・・・・・・・青木 艸寛
二羽三羽小鳥夏野にかくれんぼ・・・・・・武 美
激しさや靴に浸み入る梅雨の雨・・・・・・夢 心
夏野原三百六十度匂い立つ・・・・・・・・菅原 互酬
梅雨灯しカラフル傘の有楽町・・・・・・・菅原 互酬
網を手に光沢追いし夏野原・・・・・・・・鷹 嘴
泣き止まぬ妹の手を引く薄暑かな・・・・・鷹 嘴
梅辣韭漬けて今年も梅雨を待つ・・・・・・待糸 史敝
句会後記(青木 艸寛)
「ゆずりは句会」が発足して、7年が過ぎ、8年目を迎えました。
まず、これからに会の運営を模索する意味で、現在の句会の将来の方向性について議論が始まりました。八年目を迎え、句会誌七号の発刊の準備、原稿についての説明がありました。よく続いたものだという皆さんの安堵の声が目立ちました。
得点7、6、5点と、高得点の三句が目立つ今月の句会でした。これがどういう意味を持つのか、今後の句会の将来とどうつながっていくかは、非常に難しい問題です。しかし、句会のさらなるレベルアップにつながることを祈る次第です。
(以 上)