俳句の会

俳句の会「交譲葉」31年4月句会報告

開催日時  31.4.27(日)10:00~12:00

開催場所  生涯学習センター C―202会議室

参加者   宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原・松井の9名

投句は10名

兼 題   兼題「種蒔」

選 句   6点句(1)5点句(2)、3点句(2)、2点句(6)1点句(6)を選句した。

(6点句)

新年度年齢(とし)それぞれの一年生・・・・待糸 史敞

(選評)

人の一生は日々の時間軸の繰り返しから一年の繰り返しへと。

しかしその繰り返し迎える時の移ろいも、春の季節は、お正月と違う「新年度」である。

しかし淡々と時間は流れて行く中で人は皆、けじめ、区切りを付けて生きているのである。幼稚園児、学生たち、社会人そして各種の集まり会など、多士済々が、それぞれ新たな気持ちでスタートをして行く。

まさに「一年生」。よーいドンである。

シンプルな語彙で韻もあり、すっきりまとまった秀句であるとみた。(菅原互酬)

(5点句)

古民家のソーラーパネルに風光る・・・・・・小西 小牧


(選評)

ふるさとの里山でしょうか。古いものと新しいものに、公平に春の風が輝いている光景が目に浮かびます。どこにでもないなかなか洒落た光景の組み合わせ」といえます。古さと新しさを同時に表現するということは、なかなかできないものです。(青木 艸寛)

今日見上げ明日に落花を踏み進む・・・・・・菅原 互酬


(選評)

作者は満開の桜に見とれるが、明日にはこの見事で綺麗な花も飛花となり、落花となってしまうのだと詠歎し、同時にそれを乗り越えて生を生きる意欲を表明したのであろうか。拙はこの句から平家物語序文に想いを馳せた。うろ覚えではあるが、“祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色盛者必衰の理を表す。驕れる者は久しからずただ春の夜の夢の如し云々”である。
たったの17文字で物の理を表現したのに感服した。(悠閑亭徹心)(3点句)

小さき種願い大きく蒔きにけり・・・・・・・漆野 達磨

見送りの母にひとひら桜かな・・・・・・・・武   美

(2点句)

卆翁の種蒔き終えて座り込み・・・・・・・・悠閑亭徹心

清明やなれど無聊日暮れる・・・・・・・・・悠閑亭徹心

種まきし畑のあちこち鳥騒ぐ・・・・・・・・鴇  香子

幼な子の両手に溢れしさくらばな・・・・・・鴇  香子

満開の桜に登りし君は空・・・・・・・・・・青木 艸寛

幹分けて新芽出るや黄檗色・・・・・・・・・武   美

(1点句)

種まくと中座せし手に花暦・・・・・・・・・小西 小牧

令和待つ民に名残の遅桜・・・・・・・・・・小西 小牧

父が撒く籾よ育てよ皆の糧・・・・・・・・・青木 艸寛

床温み魔法一かけ種を蒔く・・・・・・・・・武   美

籾蒔きて集く雀のお出迎え・・・・・・・・・菅原 互酬

梅香り令和の響き恙なく・・・・・・・・・・菅原 互酬

(投 句)

燕飛ぶ浮かぶは小次郎三式戦・・・・・・・・悠閑亭徹心

高齢や借りし湯たんぽ足湯なり・・・・・・・漆野 達磨

夜桜やライトアップの夜会服・・・・・・・・漆野 達磨

亡き人の墓碑に舞いし花びらや・・・・・・・鴇  香子

花見事桜の名所も高齢化・・・・・・・・・・青木 艸寛

みしのたくかにととばかり種を蒔く・・・・・夢   心

初音聴く大多喜城の帰り道・・・・・・・・・夢   心

雪柳風にまかせて揺れにけり・・・・・・・・夢   心

幸せの種を蒔きけり両陛下・・・・・・・・・鷹   嘴

平成の白髪惜しみ雪柳・・・・・・・・・・・鷹   嘴

AI逃れ辿り着く桃源郷・・・・・・・・・・鷹   嘴

種蒔きに妻の買いたるプランター・・・・・・待糸 史敞

センバツにゆく平成をふり返る・・・・・・・待糸 史敞

句会後記(小西 小牧)

当節流に言えば平成最後の句会でした、令和を詠んだ句もありました。最高点の句はこの時季に多い花鳥風月から離れ四月らしい状況が共感を呼んだようです。
一年生という言葉に意外性をもたせた視点が発想を飛ばすということでしょうか。兼題の種蒔は実体験のある人は少なく苦戦した跡がうかがわれました。家庭菜園のようなものではなく日本伝統の稲作文化を支える重い季語であることも再認識しました。
青木さんから今後の句会の在りかた、進行について提案があり課題として検討していくことになりました。

(以上)