俳句の会

俳句の会「交譲葉」令和元年12月句会報告

① 開催日時  令和元年12.28(土)10:00~12:00

② 開催場所  生涯学習センター C―201会議室

③ 参加者   宮内・漆野・朝倉・青木・森川・菅原・安居の7名

投句は9名

④ 兼 題   兼題「暖房」一切

⑤ 選 句   8句(1),3点句(5)、2点句(4)、1点句()

を選句した。

(8点句) 

枯山に引き継ぐ命あまたあり・・・・・・・・・・・武   美

 

 

 

 

(選評) 

作者は叔母様の葬儀に向かう中央線の車窓を見て思ったことを句にしたそうです。紅葉は散り落ち、あるいは枯れ果てて何もないかに見える冬の山にも、落ちた木の実、草の種、昆虫の卵、子育て中の動物など様々な生命が密かに暖かい春を待っているのですね。

私は句会の翌日に秩父の山を木漏れ日の中、落ち葉を踏みしめながら歩きました。良い句を戴いたと思います。(鷹  嘴) 

(3点句)

置き炬燵特等席や母の膝・・・・・・・・・・漆野 達磨

暖房を孫らの来る頃み計らい・・・・・・・・菅原 互酬

餅搗きや市長も背広脱ぎ捨てて・・・・・・・菅原 互酬

寒灸や白き項のあらはるる・・・・・・・・・鷹   嘴

 

 

最終の暖房車輛睡魔満つ・・・・・・・・・待糸 史敝

(2点句)

断捨離のふんぎり付ける年の暮れ・・・・・悠閑亭徹心

暖房を低めに入れて猫留守居・・・・・・・鴇  香子

寒い日は祖母のこたつに足を入れ・・・・・青木 艸寛

 

 

丹前に旧き佳き日を懐かしむ・・・・・・・待糸 史敝

(1点句)

薪暖炉手間暇掛けたここち良さ・・・・・・悠閑亭徹心         

しもやけ手母の背中にそっと入れ・・・・・青木 艸寛

落葉掃く落葉に木の実落ちる音・・・・・・夢   心

落ち葉掃く背に柏手の響きあり・・・・・・菅原 互酬

四声なるキャロルは優し冬麗・・・・・・・鷹   嘴

 

(投 句)

師走来て掃き拭き磨き日暮れる・・・・・・・・・・悠閑亭徹心

父も子も冷たき手翳す火鉢かな・・・・・・・・・・漆野 達磨

継ぎ接ぎの足袋も嬉しや友の声・・・・・・・・・・漆野 達磨

遅秋の今飛び立たん友人(ともびと)よ・・・・・・鴇  香子

陽に映えし木守リンゴや冬隣り・・・・・・・・・・鴇  香子

教室に舞い込む雪や暖恋し・・・・・・・・・・・・青木 艸寛

ヒーターの幅に身を寄せ団欒す・・・・・・・・・・武   美

マスクしてラジオと熱唱運転中・・・・・・・・・・武   美

起抜けに暖房入れる頃となり・・・・・・・・・・・夢   心

冬空に響くチェーンソー拓く森・・・・・・・・・・夢   心

すとうぶや弁当香る二時間目・・・・・・・・・・・鷹   嘴

ノーサイド悔しさ胸にラガアマン・・・・・・・・・待糸 史敝                                                 

⑥ 句会後記(菅原 互酬)

 

令和元年の最後の月の兼題は「暖房」でした。今回の投句者の季語の暖める道具を拾って見ますと、「薪暖炉」「すとうぶ」「置き炬燵」「ヒーター」「火鉢」「こたつ」「丹前」などが出てきましたが、現代のエアコン、床暖房、ガス暖房などの言葉は見当たりません。やはり俳句の世界は、どうも現代の言葉は似つかわしくないのかもしれません。

「暖かい」という言葉は、何か嬉しい気がしますが、しかし今年は温暖化により世界中が異常気象による災害多発の年でした。来る年は平穏な地球であることを祈らずにいられません。

(以上)