- 開催日 令和2年10月24日(土)
- 開催場所 通信句会
- 参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅 原・安居・松井の10名
- 兼 題 「 夜長 」一切
- 句 4点句(2)、3点句(4)、2点句(7)、1点句(2)を選句した。
(4点句)長き夜古事記世界を逍遥す・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
(選評)この「長き夜」の季語では、多くの方が秋の夜長の時間を読書ないしそれに近い様子を詠っていますが、その中で日本の最古の書物を読んでいる様子を「世界を逍遥す」と表現した。
長夜に古事記の世界に作者は歩き回り、没頭している様子が強くこの表現で感じ取られ佳い作品になっています。 (菅原 互酬)
栗ご飯祖母が竈に薪入れき・・・・・・・・・・待糸 史敝
(選評)竈での炊き込みご飯にあさりや茸ではなく栗がぴったりとはまります。栗の硬さや香りがそう思わせる のでしょうか。
声に出して読むとリズムが良く、家族や孫に美味しいものを食べさせたいと思う「祖母」のテキパキとした動きを思います。
湯気の白さや炊きあがりの匂いまでイメージが膨らみなんとも食欲がそそられます。 (武小川寿歩)
(3点句)
空き家も化粧したるか濃き紅葉・・・・・・・・・悠閑亭徹心
長き夜や珈琲飲むかと夫の声・・・・・・・・・・武小川寿歩
長き夜縁ある人に認(したた)めて・・・・・・・菅原 互酬
刑期終え辞儀する人や秋日和・・・・・・・・・・鷹 嘴
(2点句)
時空超え芭蕉(はせお)と見たき月今宵・・・・・悠閑亭徹心
アマビエの案山子に祈る散歩道・・・・・・・・・小西 小牧
聞こえるか返って来いよ鳥渡る・・・・・・・・・青木 艸寛
ともすれば人の繋がり秋の空・・・・・・・・・・菅原 互酬
長き夜や妻の寝息と秒針と・・・・・・・・・・・鷹 嘴
愛犬の老ゆる早さよ草紅葉・・・・・・・・・・・鷹 嘴
長き夜に残りペエジを確かめて・・・・・・・・・待糸 史敝
(1点句)
運動会ゴザの上にはテレワーク・・・・・・・・・漆野 達磨
秋思あり名画の前に我一人・・・・・・・・・・・武小川寿歩
(投句)
半世紀卒論手にす夜長かな・・・・・・・・・小西 小牧
ひとり見し佳き名月や二度三度・・・・・・・・小西 小牧
濁流の跡を見つめる長き夜や・・・・・・・・・漆野 達磨
父母の租界辿れば曼珠沙華・・・・・・・・・・漆野 達磨
長き夜や万葉一巻読み切れず・・・・・・・・・・青木 艸寛
腹減りて登り盗りしが渋柿や・・・・・・・・・・青木 艸寛
初めての楽器つま弾く秋うらら・・・・・・・・武小川寿歩
ふと目覚め物思いする夜長かな・・・・・・・・・夢 心
喧しつぐみ塒に群れ集う・・・・・・・・・・・・夢 心
密生の水菜の若芽間引きけり・・・・・・・・・・夢 心
チンチンと路面電車の過ぎし秋・・・・・・・・・菅原 互酬
目覚めても外まだ暗い夜長かな・・・・・・・・・待糸 史敝
〇 句会後記 (菅原 互酬)
諸行無常の秋を迎え、季節の移ろいを感じさせてくれています。「ゆずりは」は、2月22日以来、オンライン句会となって8か月になりました。皆さんの生の評価の声が聞こえません。 それでも日々発句を生み出そうと常に、季節の移り変わりを敏感に感じるように頑張っている事でしょう。今月の兼題の「長い夜」は、佳作ばっかりのように見えます。蟄居隠遁の時間を有意義に過ごされている証拠のようです。 (以上)