俳句の会

俳句の会「交譲葉」令和2年4月句会報告

① 開催日時  令和2年4月25日(土)

② 開催場所  通信句会

③ 参加者   宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原・安居・松井の10名

④ 兼 題   「蝶」一切

⑤ 選 句   6点句(1)、5点句(2)、3点句(2)、2点句(6)、1点句(6)を選句した。                          (6点句)


春愁や天には陽あり影を踏み・・・・・・・・青木 艸寛

(選評)

今年の春は、コロナ一色でまだ当分終わりは見えないであろう。それでも一人一人は出来るだけ明るく振舞おうとしていると思う。「春愁」「陽」は明るい気分があり、「影」は今の地上を表現しているように思える。今年の気分に一致する。  (待糸 史敝)

(5点句)

桜散る数多の無念伴いて・・・・・・・・・・悠閑亭徹心

(選評)

日本人の花を愛でる心情の感性は世界的に見てず

ば抜けています。それは太古の昔より日本列島に四

季があり、それらに伴う日本人の美に対する深い造

形が文化として醸成されていったことによるもの

です。

その心情を的確に詠った句で数多の皆さんの心の

思いが強く的確に表されています。(菅原 互酬)

退院の知らせ嬉しく桜餅・・・・・・・・・・小西 小牧

(選評)

上五、中七の形のないものに、下五で桜餅とう形のあるものがポンと表れたことに驚きました。また、桜餅は桜という言葉の持つ力だけではなく、色の華やかさや見た目の可愛さもあり明るい気持ちになります。おいしいですし。安堵感にぴたりとはまった季語だと思います。(武   美)

(3点句)

初蝶や憂愁の日の空に舞う・・・・・・・・・小西 小牧

初蝶や子らと遊びて垣根越へ・・・・・・・・漆野 達磨

(2点句)

ひらひらと小蝶が一人友を待つ・・・・・・・青木 艸寛

枝しなり空いっぱいの八重桜・・・・・・・・武   美

催花雨にそっと見上げる黒枝葉・・・・・・・菅原 互酬

範頼の見下ろす里に花馬酔木・・・・・・・・鷹   嘴

風吹きて飛び交う花弁蝶のごと・・・・・・・待糸 史敝

沈黙の前代未聞重き春・・・・・・・・・・・待糸 史敝

(1点句)

漣(さざなみ)や君に捧げん桜貝・・・・・・漆野 達磨

春休み帰省ならぬと母の声・・・・・・・・・漆野 達磨

不条理な世界に飛び交う黒アゲハ・・・・・・菅原 互酬

春になり頼める人を見つけたり・・・・・・・菅原 互酬

手づくりのコロナマスクは蝶模様・・・・・・鷹   嘴

令二春児童生徒の声消えて・・・・・・・・・待糸 史敝

(投 句)
一翅鱗粉煌き揺蕩(たゆた)いぬ ・・・・・ 悠閑亭徹心

意表衝く蝶は毛虫のメタモルか・・・・・・・悠閑亭徹心

騒ぎのなか庭花咲きて卯月な ・・・・・・・ 小西 小牧

老犬のバギーの散歩てふひらり・・・・・・・武   美

花吹雪絶えぬ車に狂い舞・・・・・・・・・・武   美

待ち侘びし初蝶白く小振りなり・・・・・・ 夢   心

人は皆蟄居啓蟄虫ばかり・・・・・・・・・・夢   心

散歩途次鶯囀聴くも姿見ず・・・・・・・・・夢   心

山頂やビル群はるか霞みけり・・・・・・・・鷹   嘴

⑥ 句会後記(武  美)

コロナウイルス対策として今月も通信句会が開催されました。昨年と同じに季節は廻っていますが、この現状を詠んだ句が多くあり詠み手の心情が大いに反映されています。自由に作品を解釈して楽しむことは俳句の良さの一つですが意見交換ができないため消化不良ですし、なによりも直接の声が聞けないことは大変寂しいことです。

それでも、『選評』や『自作を語る』があるのでもやもやの解消に役立ち、また、投稿者を思い浮かべて二人句会の気分を楽しんでいます。

メンバーの投句を整理し配信してくださる幹事さんに心より感です。外出自粛を元気に乗り越え、皆さんと笑顔でお目にかかれる日を楽しみにしています。

(以  上)