俳句の会

俳句の会「交譲葉」令和2年9月句会報告

①開催日   令和2年9月26日(土)
②開催場所  通信句会
③参加者   宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原・安居・松井の10名
④兼 題   「 墓参 」一切
⑤選 句   7点句(1)、3点句(4)、2点句(5)、1点句(11)
を選句した。

(7点句)
久々の人待ち列に秋の風・・・・・・・・・・・・・・菅原 互酬

(選評)
今年は不要不急が幅を利かせ人々の生活から潤いが消えた。最近、ようやく楽しみに繋がる様々なことが少しずつ解禁され行列も目にするようになった。あれから、もう九ヶ月、気がつくと秋の気配が漂っている。作者の感慨は我々の感慨でもある。   (小西 小牧)

(3点句)
瀬戸の海小舟遠近(おちこち)秋夕焼 ・・・・・・・ 小西 小牧
墓参り残されし者の寂しさよ・・・・・・・・・・・・鴇  香子
無花果の熟すを待たず小鳥食い・・・・・・・・・・・夢   心
若僧の声朗らかに山紅葉・・・・・・・・・・・・・・鷹   嘴

(2点句)
墓参に来吾(あ)のされる日ふと過り・・・・・・・・ 悠閑亭徹心
秋思するコロナ後の世と生き方を・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
新涼や可惜身命(あたらしんみょう)一息し・・・・・ 悠閑亭徹心
網を手に仰ぐ大空秋あかね・・・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
孫二人掃台に老母(はは)涙せし・・・・・・・・・・・・ 待糸 史敝

(1点句)
移せしも墓参叶わず思い断つ・・・・・・・・・・・・・小西 小牧
訳ありて三男坊の墓参り・・・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
新品を使いし杖に初紅葉・・・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
静謐や境内巡りて青もみじ・・・・・・・・・・・・・・鴇  香子
秋の丘憶良微笑む七草や・・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
村はずれ雑きのこ売る老婆かな・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
墓参りガイドブックと睨めっこ・・・・・・・・・・・・武小川歩美
墓参り背よりも高き草を抜き・・・・・・・・・・・・・夢   心
墓参り献花と添える般若湯・・・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
田や広し旅路の果ての墓参り・・・・・・・・・・・・・鷹   嘴
高値でも膳華やかに初秋刀魚・・・・・・・・・・・・・待糸 史敝

(投 句)
新米をネットで買いし初のこと・・・・・・・・・・・・小西 小牧
月の宿汗を流して登りけり・・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
日を浴びて咲き続けるや百日紅・・・・・・・・・・・・鴇  香子
父母待てり墓参遠のくコロナかな・・・・・・・・・・・青木 艸寛
爺様のいく土の茄子みずみずし・・・・・・・・・・・・武小川歩美
初秋や雲間の碧の高きこと・・・・・・・・・・・・・・武小川歩美
猛暑の日そそくさ済ます墓参り・・・・・・・・・・・・夢   心
星月夜となりは爪を切る人ぞ・・・・・・・・・・・・・鷹   嘴
旅立ちし御霊なぐさむ墓参り・・・・・・・・・・・・・待糸 史敝

⑥句会後記 (漆野 達磨)

東京と千葉県のコロナの感染状況を確認することが日課になってしまった。
孫たちは夏休みを実家で過ごす楽しい行事も自粛せざるを得ず、大人も子どももストレスを積み重ねている。当会も3月以来7か月、リアル句会を自粛して、代りにネットを利用した「通信句会」として休会しないでここまで来た。
もう大丈夫ではないかやろうよ・・・という会員の声も伝わってくるが、万が一の場合、高年齢や基礎疾患のある人は重症化しやすいという新型ウイルスの特徴を無視するわけにもいかない。
そんな中、句集『交譲葉』第8号を9月初めに発行した。毎月1回の句会がベースになっているが、会員(10名)の句会の生産物として今年も足跡を残すことが出来て嬉しい。

(以上)