2021年 02月 28日
俳句の会「交譲葉」令和3年2月句会報告 |
①開催日 令和3年2月27日(土)
②開催場所 通信句会
③参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原・安居・松井の10名
④兼 題 「 薄氷 」一切
⑤選 句 4点句(1)、3点句(6)、2点句(9)を選句した。
(4点句)
摩天楼仰ぐ庭園蕗の薹 ・・・・・・・・・・・・小西 小牧
(選評)
この句をじっくり読み、想像し考えてみるととても意味深長です。このように感じたのは私だけでしょうか。天に頭のてっぺんを突き通す如くの摩天楼。その足元に地下茎を伸ばし春の訪れとともに地表に貌を出す「フキノトウ」。なんと天と地の大きさの違いの中に作者は、それを見出している。春の訪れを待ち望む作者の気持ちが、窺えます。 (菅原 互酬)
(3点句)
薄氷や昧爽(まいそう)の陽が踊っている・・・・悠閑亭徹心
薄氷や赤い木の実を押し花に・・・・・・・・・・小西 小牧
赤い実をついばむ鳥よ庭静か・・・・・・・・・・鴇 香子
雪溶かす熱さ秘めたる手紙受く・・・・・・・・・青木 艸寛
薄氷肩甲骨の固きこと・・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
床の間に “希望の春 ”や太き文字・・・・・・・・鷹 嘴
(2点句)
来年の約束となり春立つ日・・・・・・・・・・・小西 小牧
老い猫も舐めてゆくなり薄氷・・・・・・・・・・ 鴇 香子
外は雪香が満つ部屋は盆梅か・・・・・・・・・・青木 艸寛
山間の田畑塗眩しや春の川‥‥・・・・・・・・・武小川寿歩
寝直して寝過ごしにけり春隣・・・・・・・・・・夢 心
やわらかきアルトの響く早春賦・・・・・・・・・菅原 互酬
山融けて川面を滾る雪の精・・・・・・・・・・・菅原 互酬
風光る水耕の芽は真直ぐに・・・・・・・・・・・鷹 嘴
少しずつ季節移ろう薄氷・・・・・・・・・・・・待糸 史敝
(投 句)
春立ちぬいざ生きめやも吾が余生・・・・・・・・悠閑亭徹心
虚栄心年々剥がれ薄氷に・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
薄氷をたたくや孫の靴の音・・・・・・・・・・・漆野 達磨
指に染む手にしたマウスのつめたさよ・・・・・・漆野 達磨
ディスタンスこころは密にお別れ会・・・・・・・漆野 達磨
待ち侘しコロナの終わりを春隣・・・・・・・・・鴇 香子
薄氷堀を渡れずびしょ濡れに・・・・・・・・・・青木 艸寛
薄氷や諏訪湖にうなぎ銀のうず・・・・・・・・・武小川寿歩
囀りや心整う旅はじめ・・・・・・・・・・・・・武小川寿歩
薄氷を踏みて危うく転びかけ・・・・・・・・・・夢 心
春一番解体の塵吹き散らし・・・・・・・・・・・夢 心
薄氷や少し位と気が緩む・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
早春(はる)の風体感温度まだ真冬・・・・・・・・待糸 史敝
球春に話題は多く人戻る・・・・・・・・・・・・待糸 史敝
⑥句会後記 (青木 艸寛)
「ゆずりは」句会も8年目を迎え、それなりに順調に運営されてきていることは大変喜ばしいことです。コロナの影響で、通信句会となり丸1年が経ちました。お互い、顔は見えませんが、毎月の投句一覧表からは、コロナの妨害に負けまいという、全員の強い創作意欲と勇気がうかがえ、今のところ、コロナに勝っているのではないかといえます。特に、最近の句を拝読いたしますと、従来にも増して、力まず、マイペースで表現の多様化を求めている努力が感じられます。コロナの区分では、我々は高齢化層に区分されます。じっくりと、われわれのペースで進めていくことにしましょう。