11月26日(日)朝から曇りがちで薄ら寒い。天気予報では夕方には雨になるとか。曇り空の中JR北小金駅に集合したのは、青山、秋田谷、石橋、牛島、漆野、榎本、奥野、川口、小西、鈴木、高林、千葉、奈良、塙、福島、山本(武)、山本(正)、詫摩、という我が流山同窓の仲間18名だ。(敬称略アイウエオ順、徳竹さんが忘年会のみ、小西さんは散策のみ参加)
時はまさに14時を告げんとし、いざ出陣!敵は本土寺にあり!北小金駅から北へ向かって1本道をしばらく歩くと「長谷寺本土寺」と刻んだ石門が見えてくる。これより先が参道だ。参道の両側には松、杉などの大木が続いているが、紅葉なんかどこにも見えてこない。この分じゃ、今日は紅葉があまり期待できないのではないかと、一瞬、不安が脳裏をよぎる。両側には土産物屋が数件軒を連ねているが、お店の呼び込みにはみなほとんど反応せず先を急ぐ。
10分ほど歩くと朱塗りの仁王門が見えてきた。それをくぐり抜けると、すぐ本土寺の入り口だ。14:10到着。ここは「あじさい寺」の名前であまりにも有名であり、私も昨年あじさいが咲き乱れる季節にここを訪れている。受付嬢の話では20名なら団体割引がきくという。秋田谷さんが、ちょうど通りかかった見ず知らずの夫婦に声をかけ、その2人を含め1人500円のところ400円で20人分購入、一般通用門とは別の団体通用門を開けてもらい入場。この寺はもと源氏の名門、平賀家の屋敷跡と伝えられ、今を遡ることおよそ7百年前の建治3年(1277年)、領主の曽谷教信卿が領内の地蔵堂を移して法華堂とし、日蓮大聖人により長谷山本土寺との寺号を授かったのに始まるという。
ここからは自由行動で、50分後の15時に門前に集合となった。まず「南無日蓮大菩薩」と記した石碑が目に映り、改めてここは日蓮宗の寺だと知らされるが、意外に中が広いのには驚かされる。まっすぐに続く道を、左手に五重塔を、右手には紫陽閣を見ながら本堂へと進む。賽銭を投げ入れ、鐘を鳴らして手を合わせ参拝。右手の方に進むとこの寺の住職を、代々59世まで祭ったという墓石が道の両脇に立ち並んでいる。奥の方に60世と記した墓石がありまだビニールが被されているが、60代目が逝去したばかりということなのだろうか。
また上部が丸い形と四角い形があるのはどういう違いがあるのだろう。寺の構内は迷路のようになっており、右手の坂を下りてさらに進むと、広々とした枯山水の中庭が見えてきた。あちこちで木々の紅葉が恥ずかしげに顔を染めながら、我々を歓迎してくれる。入る前の一瞬の不安はいっぺんに吹っ飛んでしまい、やはり来て良かったと確信する。木々をよくよく見ると真っ赤に染まったもの、黄色がかったもの、茶褐色とか黒味がかったもの、まだ青いものなどいろいろあって、種々様々だが、これはそれぞれ種類が違うためだろうか。それともいずれ色が移り変わっていくのだろうかなどと、思い悩みながらこの素晴らしい色とりどりの自然の競演にしばし息を呑む。夜間にはライトアップもあるというので、また来て見たい衝動にかられる。
枯山水の中庭は池のように見えるが水はなく、あやめか花菖蒲がその枯れかかった葉っぱを広げ、最後の力を振り絞って精一杯生きようと頑張っているかのようだ。恐らく最盛期には花が咲き乱れ見る人の目を魅了してくれたのであろうが、今は心なしか淋しげに見える。遥か向こうには渡り廊下の回廊が見え何ともいえぬ落ち着いた風情を醸しだしている。さらに奥の方に廻ると、お地蔵さんがあり、その隣にはお稲荷さんがあって「梅柵や鍵をくわえて御狐 一茶」なる句が石柱に刻まれている。
その両側に狐が2匹、右側の1匹は確かに鍵らしきものをくわえているのが面白い。その先に進むと、色鮮やかな真っ赤な紅葉があたり一面に広がってきた。さらに進むと黄色に染まった大イチョウの樹を背景にして、池を取り巻く大小の岩々と色とりどりの紅葉が美しいハーモニーを奏でている場所に辿り着いた。これぞまさしくパンフレットにあるあの紅葉に彩られた美しい自然の造形美だ。まさにコレ絶景かな!絶景かな!である。漆野さんのシャッターも大忙しだ。ちょっと早めに元の集合場所に戻ってみたが、まだだいぶ間がありそうなので、そこからさらに左手の五重塔へと足を運んでみた。この五重塔は平成3年に建立されたというが、まだ建物は塗り替えたばかりなのか新しい。階段を登ってお堂の中を覗いてみると、金ピカの小さな阿弥陀様が何体も安置されていてなんとも美しく光輝いている。千体仏といって全部で千体ありそれを寄贈した人々の名前が表に記されている。1体あたりの寄贈金は25万円だそうだ。誰かが125周年記念募金の刻印よりこの方が価値あるよとか言い出したので、ちょっと好奇心にかられて調べてみたところ、既に千体分が満体となったそうで残念ながらご寄付は受けられませんと。
予定通り15時に戻り門を出て、またもと来た道を北小金駅方面へと歩く。15:10駅を越えた反対側のバス停に到着。ちょうどバスが出た後でしばらく待ち、次の15:30発のバスに乗って15、6分ほど揺られ13駅目の「公園中央口駅」で下車。すぐ先のエレベーターに乗り「松戸市立博物館」の玄関に到着。そこは総合公園「21世紀の森と広場」内に位置しているそうだが、鉄筋コンクリート造りの大きな博物館であり、平成5年にオープンしたという。ちょうど今日までという特別展の入場料を含めて500円也を払って入館。約1時間の自由行動ということで、先ず2階で「松戸の歴史展今昔」の展示場に入る。「見て・触れて・体全体で感じる”感動体験型博物館」というキャッチフレーズで、3万年の歴史の息吹に触れることができ、土器づくり・編布・機織りなどとともに、石器時代、縄文時代の集落と土器類、弥生時代の稲作、古墳、宿場町、昭和37年の団地族で今も残る常盤平団地の住居内の復元など、年代順に次々と興味深く鑑賞することができた。
地下には「戦国の城をさぐる」という特別展があるというので、少々早めにこの歴史展を出て地下の企画展示室へと急ぐ。戦国時代の日本の城がみられるのではとの期待に胸を膨らませながら、急いだのだが、復元された城などはどこにもなく、わずかに小金城址と根木内城址の小さな土型が残っているだけ。ただし初公開という織田信長朱印状と豊臣秀吉朱印状などは珍しく、興味深いものがあったが、この展示室は期待が大きかっただけにちょっとがっかり。時間があるので再び歴史展に戻ってもういちどゆっくり見学したが、こちらの方はなかなか興味深く、充分楽しめて満足することが出来たのではないかと思う。17:04のバスに乗るというのでちょっと前に集合。再びバスに乗って、夕闇の迫る町並みを通り抜けもと来た道へと揺られ、予定通り17:30に北小金駅に到着。
駅前の「庄や」に18名がなだれ込むが、まだ早いためかお客はほとんど居ない。紅一点の小西さんは帰ってしまったが代わりに徳竹さんが加わったため人数は変わらず18名だ。さっそく世話人の漆野さんの発声で全員で乾杯。今年初めてという千葉さん福島さん、今日が誕生日という川口さんの挨拶など忘年会ということもあって、挨拶にもことのほか熱が入って座が盛り上がる。日本酒好きの高林さんと塙さんの間に挟まって座ったこともあって、日本酒をお付き合いしたが、熱燗が五臓六腑にしみわたり、いつになく酒量が上がってしまう。この散策会は発足以来30回目を迎えるというが、ほんとうに長い間人気が続いており、我が流山稲門会の中でも一番活気のある同好会に成長しているのではないかと確信する。
これも漆野さんを始めとし、榎本さん、奥野さん等々この散策会を支えてくれた世話人のこれまでの温かい心配りと、きめ細かいフォローのお陰だと心から感謝。来年はこれに山本正紀さんも世話人として加わることが決まり、この会の益々の発展を祈念しながら午後7時過ぎにお開きとなった。
お陰さまでこの日は暑くもなく寒くもなく、また夜は雨という予報にもかかわらず、最後まで降られずに、素晴らしい晩秋のひとときを堪能することができた。こういう楽しい会はこれからも末永く続けていただきたい。
詫摩太郎(1966年 理工学部卒)