俳句の会「交譲葉」30年3月句会報告 |
- 開催日時 30.3.24(土)10:00~12:00
- 開催場所 生涯学習センター C―201会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・青木・森川・菅原・安居の7名(投句は9名)
- 兼 題 兼題「水温む」
- 選 句 10点句(1)、6点句(1)、2点句(8)、1点句(4)を選句した。 (10点句)薇(ぜんまい)や若芽のくるり風に揺れ・・・・・・悠閑亭徹心(選評)早春になると現れる若芽はうず巻き状で綿毛に覆われている、何とも不思議な姿の芽である「ぜんまい」ですが、そのものの姿を通して春を表現したこの句は、ひと読みしてそれを音で感じさせてくれた句です。
特に中7音の「若芽のくるり」の表現は、今にもねじまきした「ゼンマイ」が、弾けてくるりと音を奏でるようなそんな臨場感も窺わせてくれます。音を感じるような俳句はなかなか出会うことがなかったのですが、作句者の感性を感じます。
(菅原 互酬)(6点句)
御手洗(みたらし)の水温むかな月参り・・・・・鷹 嘴
(選評)
思うところあって、作者は毎月同じ神社にお参りに出かける。先ずは、御手洗の水で手と口を清めてから参拝するのであるが、手にかけた水が温くなっているのに気が付き、春の到来を感じているのである。毎月続けてやっているので、その変化に気が付くのである。見回せば、境内の草や木に新芽が出始めていたりして、他にも春の兆しが見つかることであろう。(夢 心)
(2点句)
水温み白鳥発ちて沼淋し・・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
瀬戸大橋霞める端をフェリー航(い)く・・・・・・・・小西 小牧
雛人形金子兜太を見送りぬ・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
水温むゆるゆる母子土手散歩・・・・・・・・・・・・武 美
啓蟄や補助器具届きベッド出る・・・・・・・・・・・武 美
沈丁の香り聴きけり風渡る・・・・・・・・・・・・・夢 心
湯上りのパジャマの裾に水温む・・・・・・・・・・・菅原 互酬
花粉症クリーンルームで過ごしたや・・・・・・・・・菅原 互酬
(1点句)
涅槃仏山を登りて出会う春・・・・・・・・・・・・・鴇 香子
水温む枝川に昇る鮒の陣・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
春の雨一夜で梅花散らしけり・・・・・・・・・・・・武 美
朝毎の冷水摩擦水温む・・・・・・・・・・・・・・・夢 心
朝ぼらけ散歩も楽し水温む・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
水温む友の思いを受け止めし・・・・・・・・・・・小西 小牧
お彼岸や世は理不尽なことばかり・・・・・・・・・・小西 小牧
水温む川面の魚飛び跳ねり・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
長閑なりホームの小鳥啄みて・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
水温む蛙の合唱けたたまし・・・・・・・・・・・・・鴇 香子
菜種梅雨夜中に響く夫(つま)の咳・・・・・・・・・鴇 香子
大川に芽柳萌えて子らの声・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
甘き蜜登りて手折る桜枝・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
目覚めるも余寒の日々や起き難し・・・・・・・・・・夢 心
冬五輪掉尾(ちょうび)を飾るカーリング・・・・・・菅原 互酬
春の雨廃炉の前で立ち尽くす・・・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
春の山とほく海鳥こえきこえ・・・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
句会後記(小西 小牧)
- 何回目かの句会後記がまわってきました。何故か、いつも同じようなことを書いているようです。進歩してないのかと忸怩たるものがあります。
今回は、十点句が出て、私も秀句に入れたのですが、でも、作者の卓越したテクニックの成せる技、脱帽です。自分の句で言えば最近ネガティブなものが多く、結果は空振り続き。素直な気持ちでの句作りの大切さを実感させられた今月の句会でした。 (以上)