俳句の会「交譲葉」30年5月句会報告 |
開催日時 30.5.26(土)10:00~12:00
- 開催場所 生涯学習センター C―201会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原の8名(投句は9名)
- 兼 題 兼題「玉葱」
- 選 句 5点句(2)、4点句(2)、3点句(2)、2点句(3)、1点句(6)を選句した。(5点句)
芍薬に一気に華やぐ客間哉・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
(選評)牡丹と芍薬は共に華麗で大輪の花をつける。並び称されることが多い。ただ牡丹の名園はあるが、芍薬はあまり聞かない。その芍薬を季語にした点に作者の思いが、こめられているように受けとめた。牡丹に負けない華やかさが客人を迎える。芍薬に引き付けられた一句である。 (小西 小牧)
木登りの子ら奔放に風薫る・・・・・・・・・・・鷹 嘴
(選評)
このところ木に登っている子供を見かけることはあまり無くなったが、現実には今でも木登りをする子供たちがいるようで嬉しくなった。子供の頃、田舎暮らしであった自分もよく木に登って遊んでいた。よく熟れたさくらんぼを食べて手や口を紫に染めたこともあった。高い所でいい気分になってターザンよろしく叫んでみたりもした。
奔放にという言葉に子供たちの高揚した気分があらわされていて、薫風に乗って子供らの声が聞こえてくるようである。(夢 心)
(4点句)
新茶飲む知覧という名を噛みしめり・・・・・・・ 小西 小牧(選評)
頂いた新茶を喫することにした時、茶の産地が知覧であることに気づいた。そして想いは、70数年前知覧から特攻に飛び立って行った飛行兵に至った。
片道特攻で帰らぬ多くの若人の運命が切々と胸を打ち、お茶哀悼の念でしみじみと飲んだのであろうか。
特攻、逝く等直接的な語句を使わず、知覧という固有名詞と茶をしみじみと喫したという語句で哀悼の念が表現されている。(悠閑亭徹心)
香がうねる淡路玉ねぎうず潮に・・・・・・・・・・青木 艸寛
(選評)
玉ねぎとうず潮の取り合わせが新鮮で驚き、さらに両者が幾重にも関係していることに感心しました。『淡路たまねぎ』と特定し『うず潮』との位置が明確です。輪切りの玉葱と渦潮の形状の近似。
一大生産地である淡路島の玉葱畑から立ち上がる香りが風で運ばれる様子を『うねる』と表現し、渦潮の荒々しさと重ねています。(武 美)
(3点句)
七彩(いろ)に玉葱煌り(きらり)聖ワシーリイ・・悠閑亭徹心
まるかじり命滴る新玉葱・・・・・・・・・・・・・武 美
(2点句)
古希祝う蕎麦処への木下闇・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
玉ねぎをじっくり炒めてルーづくり・・・・・・・・鴇 香子
ふり仰ぐ山に一群れ藤の花・・・・・・・・・・・・夢 心
(1点句)
新玉葱ボールいっぱいサラダとし・・・・・・・・小西 小牧
猫の額なれど負けじと草を引く・・・・・・・・・・小西 小牧
新玉を捌いて作る五輪哉・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
サクサクときざむ玉葱母の音・・・・・・・・・・・菅原 互酬
新緑や森のアートも生き返り・・・・・・・・・・・菅原 互酬
五月晴れ思わず乗り込む観覧車・・・・・・・・・・菅原 互酬
(投 句) 初夏の街メランコリックに暮れなずみ・・・・・・・悠閑亭徹心
裸でもまだ遊びたし菖蒲の湯・・・・・・・・・・・漆野 達磨
垣の薔薇道行く人に微笑みり・・・・・・・・・・・鴇 香子
夕べにも鮮やかなりし瑠璃茉莉・・・・・・・・・・鴇 香子
須賀川の牡丹はじけて道白し・・・・・・・・・・・青木 艸寛
牡丹花曼荼羅見上げる當麻寺・・・・・・・・・・・青木 艸寛
勤め先決まりし君や若楓・・・・・・・・・・・・・武 美
平成の空に六色鯉のぼり・・・・・・・・・・・・・武 美
玉葱の穫り入れ時や倒れ伏し・・・・・・・・・・・夢 心
玉葱をスライスするや目に涙・・・・・・・・・・・夢 心
黄金皮(こがねがわ)ぬめりと甘し玉葱茶・・・・・鷹 嘴
水彩で雪渓描く梓川・・・・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
- 句会後記(鴇 香子)火、木、土と透析を受けている私は日月との1泊で夫と那須高原へ行ってきました。緑の濃淡の美しさに包まれて田圃の畦道を散策したり、誰もいない古いお寺に手を合わせたりとのんびりと緑を楽しみました。その帰る高速道路の途中で小西さんからの電話で、一緒に体操をしてきた友達が亡くなったことを聴きました。
そして今日告別式で、小学2.3年のお孫さんがずっと泣き続けているのに涙を誘われました。わたしより2歳若いのです。
この2,3年入退院を繰り返した私も今年は少し落ち着いて、ヘモグロビンが7~12.4まであがりました。まだ体力的には無理をしなければならないことがたくさんありますが、残された時間を大切に使って行きたいと思います。
俳句もその一つです。いつも泥縄で成績は良くありませんが生活の記録として作っていきたいと思います。 (以上)