俳句の会「交譲葉」30年6月句会報告 |
- 開催日時 30.6.23(土)10:00~12:00
- 開催場所 生涯学習センター C―201会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・森川・菅原・安居の8名(投句は9名)
- 兼 題 兼題「素麺」
- 選 句 7点句(1)、5点句(1)、3点句(3)、2点句(5)、1点句(5)を選句した。(7点句)何するもあなたがいたから五月闇・・・・・・・・小西 小牧
(選評)
人生の喜怒哀楽、悲喜交々を共に過ごしてきた連れ合いが亡くなったのか、歳月を重ねてお互いの感情の行き違いが多々生じてきた此の頃か、吾が心は暗雲立ち込める五月闇の如くに暗くて切ない。という哀しきセンテイマンが素直に上手く表現されている。(作句者によると、同性の永く仲良く付き合って来た親友が亡くなり、その喪失感を詠んだとの事であった。) (悠閑亭徹心)(5点句)
妹を背負いて帰る夏野かな・・・・・・・・・・・漆野 達磨
(選評)
歩き疲れてしゃがみこんでしまった妹を、仕方なく背負う兄または姉。作者には妹はいなかったそうですが、昔はよく見られた光景でした。私はこの句を読んでまず先日亡くなられた高畑勲監督の映画“蛍の墓”を連想しました。戦争孤児となった兄妹の美しく悲しい物語です。おそらくこんなシーンもあったかと思います。
ところで最近では子供を背負わずに体の前で固定したり、ベビーカーで運ぶ親を多く見かけます。
前では息苦しく、ベビーカーでは離れすぎ、“おんぶ”が幼少時における親子の程よいスキンシップだと思うのですが、皆さんはどうお考えでしょうか。 (鷹 嘴)
(3点句)
畦道の風に吹かるる遊行柳(ゆぎょうりゅう)・・・・・・ ・ 鴇 香子
冷素麺緑に染まり山走る・・・・・・・・・・・・・・・・・武 美
青竹を逃げる素麺手でつかみ・・・・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
(2点句)
梅雨寒やひとり居の長電話・・・・・・・・・・・・・・・・小西 小牧
冷素麺妻女も孫もつるつるり・・・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
素麺の刻みし薬味風渡る・・・・・・・・・・・・・・・・・鴇 香子
虹色に空まで染める四葩坂(よひらざか)・・・・・・・・・ 菅原 互酬
煎餅焼く胸の谷間に光る汗・・・・・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
(1点句)
落ち杏子小鳥のつがい招き寄せ・・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
大川に蜘蛛の巣張りて夕日映え・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
ぱちんこで打ち落としけり干素麺・・・・・・・・・・・・・夢 心
デイの側(わき)そうめん流す竹の樋・・・・・・・・・・・鷹 嘴
郭公や日曜版読む駅ホーム・・・・・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
(投 句) 緑陰にどっと歓声素麺流る・・・・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
衣更えこの時こそと断捨離す・・・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
素麺に一品(ひとしな)加え二人の昼餉・・・・・・・・・・小西 小牧
ひげ剃りの音に目覚めし金魚かな・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
紫陽花やひときわ光る夕暮れ時・・・・・・・・・・・・・・鴇 香子
万葉の味覚豊かに三輪そーめん・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
梅雨空を見上げる心今日は晴れ・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
見学会予約のその日梅雨入りす・・・・・・・・・・・・・・武 美
ジョギングに紫紺の光り茄子かな・・・・・・・・・・・・・武 美
流し麺箸を逃れて笊に落ち・・・・・・・・・・・・・・・・夢 心
紫陽花や七色変化揃い咲き・・・・・・・・・・・・・・・・夢 心
黒南風(くろはえ)の緑蘿(りょくら)の垣根輝けり・・・・・菅原 互酬
- 句会後記(悠閑亭徹心)今句会は「ゆずりは」句会開始以来7年目に入った最初の句会になる。今句会も、世話人である漆野氏が選句結果を発表、高得点句から作者の意図が述べられ、一句毎に活発な意見交換を行った。知らなかった事を知り、曖昧だった知識が明確になり、同人各位の感性と知見と経験が机上に浮かぶ。所定の2時間が疾く過ぎていった。
初心者である会員が満六年間毎月一回、三句を投句し続け、句会を開催してきたのはどういうモーテイベ―ションが働いているのか考えた事がある。夫々異なるであろうが,拙は作句し個人的にノートに書き留めておくだけでは自己満足と自己嫌悪の狭間に落ち込み、永続きできなかったと思う。やはり、拙い句でも同行の士に晒し、毀誉褒貶の批評を受ける事が続けられる大きな要因であったと考える。
これからもできうる限り、設定した兼題を詠む事にチャレンジする積りです。 (以上)