俳句の会「交譲葉」30年7月句会報告 |
- 開催日時 30.7.28(土)10:00~12:00
- 開催場所 生涯学習センター C―202会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原の8名(投句は9名)
- 兼 題 兼題「かき氷」
- 句 5点句(2)、4点句(1)、3点句(1)、2点句(7)、1点句(5)を選句した。
(5点句)
炎天の先を急ぐや蟻ひとつ・・・・・・・・・・鴇 香子
(選評)
暑さを題材にした句が多くあった中で、蟻に目を向けた点に魅かれました。炎天下、小さな蟻が先を急いでいる。巣に帰る途中だろうか-。小さきという表現に疑問の声が起こりました。私も十七字という中で言わずもがなの表現を入れることは、勿体ないと思います。ただ、この場合、殊更小さいと強調することで人も歩かないような酷暑の中、あの蟻がというやさしさも垣間見えてきました。小さきではなく一ぴきという提言もあり、これには納得がいき、賛成です。(小西 小牧)
貴婦人が傘開きたり百合の花・・・・・・・・・鷹 嘴
(選評)
俳句を選ぶときまずざっと全部声に出して読んでみます。その中で一番映像として輝いていたのがこの俳句でした。まるでルノアールの絵のように白いドレスを纏った貴婦人が白い傘をさして軽やかに歩いてくるようでした。
百合の花を「貴婦人」と表現した新鮮さがとても美しいと思いました。「貴婦人が」より「貴婦人の」としたほうが一層たおやかな気がします。(鴇 香子)
(4点句)宵宮の微かに聞こゆ笛の音・・・・・・・・・・鴇 香子
(選評)
宵宮の日は、どういう訳でしょうか、笛の音が夕刻に早めに聞こえてくるものです。 何らかの理由で出かけられない作者が、何となく心をそわそわさせる様を表現しています。
誰にでも経験のある、あっさりと表現した良い句です。
(青木 艸寛)
(3点句)
かき氷廻す両手のハーモニー・・・・・・・・・・菅原 互酬
(2点句)
縁台に妹と母待つかき氷・・・・・・・・・・・・小西 小牧
立ち止まり深呼吸する炎暑かな・・・・・・・・・小西 小牧
かき氷匙と器を響かせて・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
路地裏の雨にやれやれ蝸牛・・・・・・・・・・・漆野 達磨
白き富士夜店に光るかき氷・・・・・・・・・・・青木 艸寛
あー佐渡へー孫と息合う盆踊り・・・・・・・・・青木 艸寛
ビル群を呑み込み迫る雲の峰・・・・・・・・・・武 美
(1点句)
旱星(ひでりぼし)見上げる露台にぬるき風・・・悠閑亭徹心
飛鳥路の辿りし後のかき氷・・・・・・・・・・・鴇 香子
強き腕さらさら積もるかき氷・・・・・・・・・・武 美
口周り朱色に染めてかき氷・・・・・・・・・・・夢 心
夕映えのおおたかの森梅雨明けぬ・・・・・・・・夢 心
子沢山氷かく様プロ染みて・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
北穂小屋あのかき氷忘られじ・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
水見舞い地震問われて熱帯夜・・・・・・・・・・小西 小牧
一輪も咲かぬ四葩の俯きて・・・・・・・・・・・漆野 達磨
水無月は洪水水枯れ二本立て・・・・・・・・・・青木 艸寛
人の居ぬ公園広し蝉時雨・・・・・・・・ 武 美
ストローのスプーンでせせるかき氷・・・・・・・夢 心
蝉しぐれ7日余りのコンサート・・・・・・・・・菅原 互酬
真夏の夜詞章のごとし星世界・・・・・・・・・・菅原 互酬
かき氷はアルプスのごと山の小屋・・・・・・・・鷹 嘴
うりざねの人に振舞ふ麻婆茄子・・・・・・・・・鷹 嘴
6.句会後記(小西 小牧)
風水害や猛暑、台風と心の安まらない日々が続いていた中での句会となりました。
兼題の「かき氷」は誰にも身近なものであり、いろいろな思い出と関わる句が多く、共感が得られやすかったのでしょう。兼題としては珍しく多くの句にバラツいて点数が入りました。雑詠の方はやはりこの暑さを題材にしたものが目立ちました。私事で恥ずかしいのですが、今回、三句中二句も自分の思いとの乖離がありました。わかってもらえないだろうなと思っての説明がくどく、字余りになり、逆に「わかるよ」と言われてしまいました。まだまだ推敲の大切さを実感しました。
句集の表紙が鮮やかな黄色に決まりました。手に取る日を楽しみにしています。 (以上)