俳句の会「交譲葉」2018年8月句会報告 |
開催日時 30.8.25(土)10:00~12:00
- 開催場所 生涯学習センター C―201会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原・安居の9名(投句は10名:体験投句1名)
- 兼 題 兼題「暑さ」
- 選 句 6点句(1)、4点句(3)、3点句(1)、2点句(7)、1点句(5)を選句した。(6点句)
歓声や画面移りて昼寝覚・・・・・・・・・・小西 小牧
(選評)
ユーモラスな発想の句です。NHK教育テレビの将棋か囲碁の番組を見ながらウトウト寝ていたところへ、放送が高校野球に切り替わり、観客の大歓声やアナウンサーの絶叫に目が覚めてしまったのですね。高校野球、球児、甲子園などの言葉を使わずに表現してそれが伝わるという点がこの句の素晴らしさだと思います。(鷹 嘴)
(4点句)
終戦忌球児に倣い黙祷し・・・・・・・・・・小西 小牧
(選評)
終戦も遠くになりにけり。あれから73年目の夏を迎え、直接体験者も数少なくなった。毎年行われる終戦記念日も、戦後生まれの世代には定例の行事になりつつある。甲子園で行われる球児たちの黙祷の儀を見て、改めて戦争で喪われた多くの人達を悼む感情が惹起する方も世には多い。この句はそれを“球児に倣い”という語句で適切に表現している。(悠閑亭徹心)
櫛比する屋台の匂い夏祭り・・・・・・・・・夢 心
(選評)
「櫛比する屋台の匂い」と、きたらすき間なく並ぶ食べ物屋さん。
匂い立つ食べ物屋さん。
何を食べようか迷い込んでいく。
小さい頃の想いが沸き立ってきました。
櫓太鼓の音も響き、ゆかた、屋台の赤や黄色や青色と鮮やかな色も見えてきます。
僅か17文字で楽しませていただきました。(菅原 互酬)病院を出れば真昼の暑さ哉・・・・・・・・・鷹 嘴
(選評)
予約を入れていたにも拘らず長い時間待たされたか、透析に長い時間がかかったか、いずれにしても空調管理された病院の快適な空間にいたのに、一歩外に出ると猛暑にさらされる現実に引き戻された。日常生活の些細な実感が素直に表現されているのに共感して秀句に選んだ。 ところが、作者の自作を語るによると、仕事として病院内で数時間を過ごしていると、空調管理した病院内には、快適とばかりは言えない、色々なものが混じり合った空気があって、一歩外へ出たら猛暑とはいえ、生き返る心地がしたというのである。
同じ句でも、人によって全く解釈が違うものだと、あらためて感じた次第である。 (夢 心)
(3点句)
知事悼み極暑に集う基地の街・・・・・・・・・・・・小西 小牧
遠近(おちこち)の遠花火聞く一人居て・・・・・・・悠閑亭徹心
手花火の終わりし夢を掃き寄せて・・・・・・・・・・漆野 達磨
皆帰り父母見てる盆の月・・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
俤(おもかげ)を追いし夕闇遠花火・・・・・・・・・鴇 香子
暑き夜に汗もかかぬか囲碁敵・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
山百合が斜面に一本すまし顔・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
蛸ぶつを下げて上京島の叔父・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
(1点句)
吾毛もの一皮剥ぎたい酷暑かな・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
炎天下避暑どころかや生きるだけ・・・・・ ・・・・青木 艸寛
青春の坩堝真夏の甲子園・・・・・・・・・・・・・・夢 心
爽籟(そうらい)やしおり挟んで目を閉じて・・・・・菅原 互酬
蝉時雨 猛暑酷暑も おいやられ・・・・・・・・・・・松井 敏浩
(投 句)
暑さ避く夜の蝉声もの哀し・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
猛暑から命守るや水と冷・・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
珈琲の香りゆらぐや盆休み・・・・・・・・・・・・・鴇 香子
老いし猫背に降り注ぐ百日紅・・・・・・・・・・・・鴇 香子
水ならぬ湯やりとなりし暑さかな・・・・・・・・・・武 美
高原のうす雲にわか驟雨なり・・・・・・・・・・・・武 美
湿原に白鷺一羽風清し・・・・・・・・・・ 武 美
酷暑をば吹き飛ばしてや球児達・・・・・・・・・・・夢 心
心異(こころこと)不思議な芽の出る暑さかな・・・・菅原 互酬
秋風に梢(こずえ)も奏(かな)でるシンフォニー・・菅原 互酬
制服の並ぶバス停蝉時雨・・・・・・・・・・‥・・・鷹 嘴
母逝きぬ孫と花添う夏の午後・・・・・・・・・・・・松井 敏浩
「甲子園」元気もらうよ球児らに・・・・・・・・・・松井 敏浩
- 句会後記(武 美) 残暑厳しい中体調を崩す人もなく全員参加で開催されたこと、嬉しく思いました。兼題の「暑さ」には猛暑・酷暑・極書と並び、命の危険や自然界での異変など今年の夏の異常さが多く刻まれていました。一句ずつ丁寧に鑑賞し改めて言葉選びの巧みさに感心したり、率直な意見交換に刺激を受けたりと大変有意義な時間を持ちました。体験参加で松井さんに投句をいただきました。交譲葉の会の本髄は句会にあると思うので、ぜひ来月のご参加お待ちしています。山吹色の句集第六号が配られ、その生き生きとした色目のためでしょうか、やっつけ仕事で投句をしている自分を恥ずかしく思いました。次回から兼題3句という新しい試みが始まります。さてどうなることか楽しみです。幹事さんに感謝を添えて。 (以上)