俳句の会「交譲葉」30年9月句会報告 |
- 開催日時 30.9.22(土)10:00~12:00
- 開催場所 生涯学習センター C―202会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・青木・小川・森川・菅原の6名 (投句は9名)
- 兼 題 兼題「星月夜」「菊人形」「秋茄子」
- 選 句 6点句(1)、5点句(1)、4点句(1)、3点句(2)、2点句(5)、1点句(5)を選句した。
(6点句)
庭花の微かにそよぐ星月夜・・・・・・・・・小西 小牧
(選評)
秋の空は透明になり、時に星の光が月のように見える。
その光が庭花を照らし、光と影の関係で恰も花々がそよいでいるように見える。
作者はその情景を微かにそよぐと表現した。美しく風情ある句である。
選評子はそれを評価しつつも、そよぐは風との関連が強いので、星の光にフォーカスし、枕の草子を踏まえ、庭花もほんのり明かりて星月夜という句にしてみたが、如何であろうか。(悠閑亭徹心)
(5点句)
ぬか床や紫紺の顔出す秋茄子・・・・・・・・菅原 互酬
(選評)
今は秋茄子の一番おいしい季節。大切なぬか床に、とっておきの秋茄子を埋めておいたものが、ちょうどよい頃になり、床から取り出し、今宵のおかずにしようとしている様子が見事に表現されています。 こちらも、思わず唾をのむ一瞬といえます。ぬかの中に、紫紺の鮮やかさがうまく表現されているといえます。(青木 艸寛)
(4点句)枯れ朽ちし菊人形よ夢の痕・・・・・・・・・悠閑亭徹心
(選評)
兼題の一つ「菊人形」は、実物を見るには少し早く、写真なり記憶を頼りの作句となった。殆どが華やかに咲き誇っている景色を詠んでいるのに対して、枯れ朽ちた残骸に注目して読んでいるのに惹かれた。武者姿の人形が多いところ、枯れ朽ちた様子から「夏草やつはものどもが夢の跡」に連想が行った。この句では「痕」となっているが、病垂れには肉体的な異常を意味するところがあるので、ここでは馴染まず、「跡」の字を当てたいと思った。(夢 心)
(3点句)
年上の女(ひと)に誘われ秋茄子・・・・・・ 漆野 達磨
武士(もののふ)の気骨溢るる菊人形・・・・ 漆野 達磨
(2点句)
裏路地に野良ネコ歩む星月夜・・・・・・・・悠閑亭徹心
拝顔の言葉はいずこ菊人形・・・・・・・・・武 美
秋茄子や掌にすっぽりと納まりぬ・・・・・・夢 心
星月夜箪笥の上に白木箱・・・・・・・・・・鷹 嘴
白菊を纏ひて空(くう)に還りけり・・・・・鷹 嘴
(1点句)
陽射し良く秋茄子の紫紺深み増し・・・・・・悠閑亭徹心
テント張る友と二人の星月夜・・・・・・・・漆野 達磨
山盛りの馳走秋茄子膳仕切る・・・・・・・・青木 艸寛
拍子木の音冴え渡る星月夜・・・・・・・・・夢 心
手にとれるゴッホ画集の星づき夜・・・・・・松井 敏浩
武士(もののふ)は揃って美男菊人形・・・・小西 小牧
手土産はあなた自慢の秋の茄子・・・・・・・小西 小牧
幼き日母と手つなぐ星月夜・・・・・・・・・青木 艸寛
菊人形姫は着飾り殿質素・・・・・・・・・・青木 艸寛
忘れなや四人を照らす星月夜・・・・・・・・武 美
3つなれど義母の手植えの秋なすび・・・・・武 美 ·
西郷どんに犬も連れ添う菊人形・・・・・・・夢 心
星月夜うさぎも杵も見え隠れ・・・・・・・・菅原 互酬
菊人形触れたき心押し伏して・・・・・・・・菅原 互酬
秋茄子を川面に一つ投げてみる・・・・・・・鷹 嘴
枚方で幼な子(おさなご)と見た菊人形・・・松井 敏浩
時すすみ味深まれる秋茄子(あきなすび)・・松井 敏浩
句会後記(夢 心)
出席者6名の少し寂しい句会となった。
今回は兼題を3個として、夫々の兼題で1句ずつ作句するという初めての試みであった。句会の進め方にはいろいろあって、会員の合意の下で、あるルールを作ってそれに従ってやれば何でもありと思っていたが、やってみると夫々に一長一短があってうまくいかない。
兼題に従って詠むのは、作句の勉強になってよいと歓迎する人がいる一方で、日常生活を過ごしながら、日記代わりに身辺の情景を詠んでいきたいという人にとっては兼題は邪魔になる。季語は自由な方がよい。
句会の席で、色々な意見が出た挙句、今回の試みは取止めとなり、次回は兼題で1句、当季自由季語で2句という元の形に戻ってやることになった。 (以上)