7月25日水曜日午後2時、JR四ツ谷駅改札に抽選に当たった22名が集合しました。
最高気温32度の蒸し暑い日でしたが、迎賓館への道は街路樹が涼しくわくわく歩いていると、白い外柵に金飾りの付いた派手な正門が見えてきました。ここからは入れず、九十九里浜から移植された144本の見事な黒松の前庭を横目に、西門へ回ります。参加証・身分証明書の提示、手荷物のX線検査と金属探知機による身体検査、厳しい入場チェックを受けた後、五七の桐の模様の入ったバッチを胸に、やっと参観となります。(このバッチは記念に頂けるのかと思いきや出口で返却。がっかりです。)
建物の中では、『彩鸞(さいらん)の間』『花鳥の間』『朝日の間』『羽衣の間』の4つの部屋を見学できます。ひと部屋ごとに使用目的に合った造りや装飾が施されていており、鸞と言う空想上の鳥のレリーフの彫り物や天井に描かれた絵が、各部屋の名前の由来となっています。。天井が7メートルと高く部屋の豪華さを際立たせています。各部屋に説明員さんがいて、パンフレットにはない興味深い話が聞けました。
壁と天井が白と金箔で統一された『彩鸞(さいらん)の間』は、10枚の大きな鏡と美しいシャンデリアがヴェルサイユ宮殿の鏡の間を彷彿させ、突然広がった別世界に驚きうっとりしました。賓客の控えの間や条約・協定の調印式の場として使用するようです。
一転『花鳥の間』は、壁の板張りの茶色と絵画の背景の基調の青とで、落ち着いた重厚な印象です。この部屋は公式晩餐会にも使用されることから、フランス画家による36枚の天井画の鳥はすべて食獣と知り興ざめしましたが、目の高さに掛る30枚の七宝焼は日本の四季の花鳥を描き、繊細で美しく救われました。また、重さ約1tの豪華なシャンデリアは巧みにスピーカーが組み込まれていますが、隠しマイクもあるのではなどと話しながら見学しました。
広い正面玄関とそれに続く中央階段には白黒市松模様のイタリア産大理石の床の上に赤絨毯が敷かれ、賓客をお迎えするにふさわしい豪華さです。ここから入りたかったなぁとぼやきながら、2階大ホールから見下ろしました。
『朝日の間』は表敬訪問や首脳会談などのサロンとして使用される最も格式の高い部屋です。天井画の『朝日を背にして香車を走らせる女神』が華やかで見事なのに対し、日本の海軍の象徴はボート風の船が、陸軍のそれは鎧かぶとが描かれており、当時の西洋人の日本に対する認識を知らされました。
『羽衣の間』は、舞踏会場として設計された「鏡と金色と緋色」のたいそう華麗な部屋ですが、舞踏会が開かれたことは無く雨天の際の歓迎式典や会議場などに使用さているそうです。中二階のオーケストラ・ボックスを見ながら、鹿鳴館の挿絵のような光景をうっとり空想しました。
余談。廊下には大理石のテーブルの上に見事な九谷焼のランプが置かれています。その中には大地震の際に倒れた物もあるそうですが、接着剤で修復されたランプを見つけた時にはもったいない精神に嬉しくなりました。
この後、三々五々国宝の噴水池のある主庭を見学して、午後3時半に解散となりました。
参観を終えて、迎賓館は各国の賓客をお迎えする場であると同時に、明治以降の日本の変遷を雄弁に物語る建造物であることがわかりました。
5月から申し込みをして、このような貴重な機会を与えて下さった世話人の方に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。とても華やかな楽しい時間を過ごしました。
(完)