2015年 05月 01日
駅シネマ同好会で『 グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』を観ました
~嶋沢 伶衣子(1981年文学部卒)
*2015年4月27日(月)、駅シネマ同好会の第35会映画鑑賞会で、フィリップ・ファラルドー監督の『 グッド・ライ』を観ました。
1980年代、難民となったスーダンの若者3600人を全米各地に移住させた実話に材を得たヒューマンドラマで、当時のスーダン内戦を取材したスタッフ/アカデミー賞スタッフ/アカデミー賞キャストが集結しています。主役のマメールら、内戦を生き抜いた「本当の難民」が多数出演していて、”世界にあまり知られていない僕たちの体験を発信したい”という強い意志が伝わりました。
*『グッド・ライ』というタイトルは軽い感じもしますが、見応えのある深く考えさせられる作品なので、行かれる方は 心して観て下さい。(良作ですがロングランは難しそうなので、お早めに映画館へどうぞ!)
◎ 『 グッド・ライ』 スタッフ&キャスト
フィリップ・ファラルドー(監督)
マーガレット・ネイグル(脚本)
ロン・ハワード(製作)
リース・ウィザースプーン~キャリー
アーノルド・オーチェン~マメール
ゲール・ドゥエイニー~ジェレマイア
エマニュエル・ジャル~ポール
コリー・ストール~ジャック
クース・ウィール~アビタル
サラ・ベイカー~パメラ
◎ 『 グッド・ライ』あらすじ(触りだけ)
*1983年に勃発した「スーダン第二次内戦」で 多くの孤児が出た。孤児たちは1600キロ歩き続けてケニアの「カクマ難民キャンプ」に命からがら辿り着いたが、そこでも安息を得る事はできなかった。
*十数年後、アメリカ政府が、「IOM国際移住機関」を通して 難民キャンプからの「第三国定住」計画を進め、”ロスト・ボーイズ”と呼ばれる孤児3600人を、全米各地へ 移住させていった。
*カンザスシティーの職業紹介所で働くキャリー(リース・ウィザースプーン)は、スーダン出身のマメール(アーノルド・オーチェン)、ジェレマイア、ポールを 何とかして就職させようと奮闘する。一方、マメールたち3人は、言葉/文化/生活様式/価値観などが懸け離れたアメリカでの暮らしに、驚き戸惑う・・・(以下略)
◎ 『 グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』感想
*映画の冒頭から かなりの時間に渡って、スーダン内戦の惨状が克明に描写されました。ゲリラ兵に狙われる恐怖、肉親との離別、飢餓との闘い、決死の逃避行など、孤児たちの過酷な運命に、絶句せざるを得ませんでした。
*少年たちがケニアのカクマ難民キャンプに辿り着いた後も、困難な暮らしが続きました。でも だからこそ、彼らは 生涯に渡る”深い絆”を持ち続けたのだろう、と思いました。
*中盤から キャリー(リース・ウィザースプーン)が登場して、作品にコミカルタッチが加わってきました。彼女の演技は、アメリカ市民の底抜けに明るい善意やボランティア精神を感じさせてくれました。
タイムトラベルしたかの様に自由の国へ渡った ロストボーイズと、彼らを受け入れたアメリカ人。双方の間に、激しいカルチャーギャップや行き違いが生じ、笑いを誘いました。
*私は 序盤の緊張感から開放されて ゆったり観ましたが、アメリカで困惑するロストボーイズを通して、当たり前に過ごしている日常の有難さや 戦争/内戦の悲惨さを感じました。また、物質的に満たされるにつれて 心を蝕まれていく彼らを観て、本当の幸せについても考えさせられました。
*映画終盤。自分の誕生日を知るよしも無い マメールたちロストボーイズは、1月1日に 一斉にお誕生日のお祝いをしました。キャリーたちアメリカ人もパーティに加わり、今 生かされている事の喜びを分かち合いました・・・
・・・人に優しくなれそうな 人の絆の大切さを思い出させてくれるような、愛に溢れる胸を揺さぶられるエンディングでした。(ネタバレになるので、詳しくは書きません。)
◎ 駅シネマ同好会 会員の皆様さま、世話人の朝倉さま、これからも一緒に良い映画を観て語り合いたいので、どうぞ宜しくお願いします。
( 完 )