俳句の会

俳句の会「交譲葉」令和元年10月句会報告

  1. 開催日時  令和元年10.26(土)10:00~12:00
  2. 開催場所  生涯学習センター C―201会議室
  3. 参加者   宮内・小西・漆野・青木・小川・森川・菅原・安居の8名       投句は10名
  4. 兼 題   兼題「秋高し」一切
  5. 選 句   6点句(1),5点句(1)4点句(2)、3点句()、2点句(7)、1点句(4)を選句した。


(6点句)

   湖の金の縁取り芒かな・・・・・・・・・・・・・・・武   美

(選評) 

 ある時期、ある時間帯の芒は金色に見える。それがまるで小さな湖を縁取っているような光景だろうか。この句はその光景を客観的,静的に捉えているが、より芒を立たせ、臨場感を出すために、動詞形で「湖を金に縁取る芒かな」では、、、
湖 ほうほう、金に縁取る?何が?芒が陽を浴びて金色に光り、湖の周辺に群生しているのか。(悠閑亭徹心)

 (5点句)

秋桜を何万揺らす風静か・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛 

 (選評)

   春のさくらを秋の桜と書いて「こすもす」と詠む。なんと日本人は優雅雅な感性を持っているのでしょうか。
そんな秋桜が蒼洪と何万何千と咲き乱れている。きっと大空に向かって皆で手を振っている姿なのでしょう。それなのに風は静かに感じてしまう。
大きく秋の色と風と台地の息吹きを感じる秀句であると思います。(菅原 互酬)

屋根走る音凄まじき野分かな・・・・・・・・・・・・漆野 達磨


(選評)

 今年は台風151921号と踵を接して来襲し、特にそれに伴う豪雨による被害が甚大であった。この句では暴風雨の凄まじさを、屋根を走る音で表現しているところに独創がある。
夜、暗い中でまんじりともせずに、間欠的に強まったりする音を聴いていると、視覚のない分余計に恐怖が増すのである。屋根の上を巨大な怪物が走り去るのをひたすら待つきりない。(夢  心)

ゴールするボール目で追う秋高し・・・・・・・・・・夢   心

(選評)
もう半世紀にもなりましょうか、私もひと時、高校時代にラグビー部 にいました。世界の一流ラガーが、日本で大活躍。日本のラグビーのレベル
向上に大きく貢献しています。ラグビー界の変化・進歩に驚きます。この 句からは、思い切り蹴られたボールが天に吸い込まれるように、秋空に高く飛んで行くという光景が目に浮かびます。さらには、日本のラグビー界の実力上昇、人気向上に向けてボールが天高く舞い飛ぶが目に浮かんできます。気持ちの良い一句です。(青木 艸寛)

(3点句)

平成史深読みするか秋の夜・・・・・・・・・・・・ 待糸 史敝

(2点句)

スカイツリーすきっと屹立秋高し・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
秋高し翔け昇りたき心地かな・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
悩み事好転しそう秋高し・・・・・・・・・・・・・・小西 小牧
変わりない金木犀の香慰めや・・・・・・・・・・・・小西 小牧
雲一つ鳥さえづリて秋高し・・・・・・・・・・・・・鴇  香子
秋高し憂いちっぽけ初渡航・・・・・・・・・・・・・武   美
秋高しポールモリアをリフレイン・・・・・・・・・・菅原 互酬

(1点句)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

日々流る台風被害人老いて・・・・・・・・・・・・・小西 小牧
金木犀犬の散歩に立ち止まり・・・・・・・・・・・・鴇  香子
巾着田(きんちゃくだ)せせらぎに燃ゆ曼珠沙華・・・鷹   嘴
(ほむろ)立つ土手に深紅の曼珠沙華・・・・・・・・待糸 史敝

(投句)

ブドウ捥ぎ棚より見あぐ空高し・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
ラグビーや闘う日本秋高し・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
柿日和隣の庭からお裾分け・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
濁流に家流されし秋台風・・・・・・・・・・・・・・鴇  香子
大和路に八一を詠う秋髙し・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
なんとまあ秋の激雨が土手流す・・・・・・・・・・・青木 艸寛
目の前に緋色の軌跡赤とんぼ・・・・・・・・・・・・武   美
土砂崩れ線路宙吊り雨台風・・・・・・・・・・・・・夢   心
秋長けてグリーンカーテン枯葉色・・・・・・・・・・夢   心
遊歩道聞香集め秋うらら・・・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
秋星夜壁のゴッホに思い馳せ・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
天高し大海原に骨撒く手・・・・・・・・・・・・・・鷹   嘴
秋高し機体の窓の視線かな・・・・・・・・・・・・・鷹   嘴
秋高し躍進続けラガアマン・・・・・・・・・・・・・待糸 史敝

句会後記(漆野 達磨
  

今回の句会では3人がラグビーを5人が災害を詠んでいました。ラグビーはあれよあれよと言う間に日本が4連勝してからラグビーフアンが急増したことに注目して、私の最初の句は、

       「闘球に文明開化の秋高し」

と体力勝負のスポーツだと思っていたラグビーが実はノーサイドをモットーとする紳士のスポーツであることに気ずき始め、夢中になっていく様子を詠みました。
台風に、短時間に何度も被災した日本列島を明るい話題で少しでも復興支援できればうれしいですね。

                                                              (以上)