散策会

(第23回散策)「つくばエクスプレス」試乗と「筑波宇宙センター」ツァー見学

11月20日、気圧配置も安定して穏やかな秋晴れ続きの昼過ぎ、「流山おおおたかの森」駅集合。常磐沿線に住む筆者はつくばエクスプレス(以下TX未体験、この駅はもとより、交差する同名の東武線新駅も初めてで、広々と明るいコンコースを歩きながら四方をキョロキョロ、通行中の人に尋ねてオオタカ営巣の「市野谷の森」を探す。その人は筆者をわざわざ見える位置まで案内して、西方向の彼方にあるのがそれだと教えてくれた。

散策会会員が集いつつあるコンコースの場所から見渡せる東南方面には、広大な空き地が駅前用地として用意され開発を待っている。造成中の道路もあるようだ。流山市内のTX3駅のうち、この駅の辺りが市のほぼ中央に位置し、快速停車の東武線乗換駅であることから、流山のいわば「へそ」として、いまは何もない駅前用地は勿論、その周辺部も含めて急速に変貌てゆくことだろう。都市化が大きく進むことにより、現在確認されているらしいオオタカの棲息がどうなるか心配でもある。駅名をこうと定めた以上「流山おおたかのいた森」の意味にならぬよう、自然環境保護のための努力が強く望まれるところである。市が標榜している「水・緑・歴史の豊かさを、みんなの力で未来に伝えるまち・流山」(市策定の「環境基本計画」より)なのだから。

12時55分発、散策会この日の参加者17名を乗せたTX快速は、継ぎ目のないロングレールということで振動も騒音も少なく、高架や掘割式で踏み切りのない路線を快適に走る。「流山おおたかの森」から「つくば」まで8駅。快速通過駅の「柏たなか」「柏の葉キャンパス」も流山の3駅と同じく市名入りだ。町おこしの一環として、駅名に自治体の名を冠じアッピールしているのか。思う問もなく利根川を越えて「守谷」に到着、下り快速が茨城県内で途中停車するのはこの駅だけだ。その先「みらい平」と「みどり野」両駅の名も、命名決定までの紆余曲折を想像させる。まさに何もない広野原に駅ができたからだ。快速は「万博記念公園」駅と「研究学園」駅も「黙殺」してひた走った。終点「つくば」着がなんと13時15分、僅か20分間。「流山おおたかの森」~ 「つくば」間の運賃700円は、この短時間を思うと高い感じはしない。「秋葉原」へは600 円、普通列車で30分、快速ならば25分で行くという。東武野田線で柏に来て常磐線快速で都心に出るよりも速くて安い。17名の参加者に、8月24日の開通か当日までのTX乗車体験の有無を聞いてみたら、常磐沿線居住の5名は全員なし、東武沿線の12名が主として上り方面体験あり、そして「つくば」まの乗車は、このコース実施のために下見乗車をされた世話人の漆野氏を除き、全員がこの日初体験であった。

「つくば」地下駅を上に出ると、研究学園都市の中心街、紅葉美しい街路樹。片側3車線の車道、そして自転車道と隔てた幅広い歩道。中央公園を通り抜けて最初の見学先、傍らに高さ50mのH‐ Ⅱロケット実物大模型が讐え立つ「つくばエキスポセンター」へ。300円の自動販売入場券を求めて入る。「来て、見て、遊んで、科学に感激!」のキャッチフレーズ通り、宇宙関係などの参加体験型展示が多く子供が楽しめるし、大人も未知の世界に新たに触れることができる。残念ながら9月から来年3月までリニューアルエ事中で、「調整中」の機器が目立った。
落葉散るケヤキ並本の遊歩道を中心街へ戻り、バスターミナルから路線バス10分ほどでメインの見学場所「筑波宇宙センター」に到着。

この施設は、国の三つの機関(「宇宙科学研究所」「航空宇宙技術研究所」「宇宙開発事業団」)を統合した独立行政法人「宇宙航空研究開発機構」(JAXA=Japan AerospaceExploration Agency)が運営しており、ツァー見学は無料だが事前申込を必要とする。東京ドーム12個半も入るという敷地に各種の建物があり、見学者は配布されたワッペンを胸に貼り、JAⅨAの移動バスで各棟を回る。バス出発からコースの最後まで属のガイドがつく。日曜日のせいか、3時スタートの最後のツァ―であっても、35人乗リバスは補助席もいっぱいの見学者。自らを名乗ったガイド嬢の冷清水(ひやしみず)という姓に、「メズラシイ」の声があがる。冷清水嬢の案内で先ずは「筑波宇宙センター展示室」へ。この棟だけは予約なしの自由見学も可。ロケットエンジン、国際宇宙ステーション、人工衛星などの実物や模型を前に冷清水さんがわかりやすく説明する。再びバスで次の「宇宙ステーション試験棟」に移動、やがてアメリカのNASAによつて打ち上げられる宇宙ステーションの実験モジュールで、JAXA担当製作の「きぼう」などを見る。次は「宇宙ステーション運用棟」、「きぼう」の運用管制室があって、宇宙飛行士との交信もこの室で行なわれることなどの説明を受けた。最後は出発点の「広報・情報棟」に戻って宇宙開発に関するビデオを観てツァーは4時20分終了。宇宙グッズ販売店で、土産にロケット型ボールペンなどのほか、話の種にと520~ 630円の「宇宙食」を求める人もいた。このツァーでは、ここにいちいち書けない多くの展示物とその説明があり、しかも日常とはかけ離れた世界のことなので、見学者も疲れたらしく、椅子にじつと座って観る最後のビデオ上映では船を漕ぎそう:こなっている人もいた。かく申す筆者自身も然り、ゆえにビデオの内容はよく覚えていない。

「筑波宇宙センター」は、宇宙飛行士になることを夢見る少年少女には必見の施設であるとう。冷清水さんの説明にもあったが、宇宙飛行士を志すための最低条件として、1.健康であること 2.協調性があること 3.英語力(及びロシア語力)があることの三つが必要だそうだ。4時半に「センター」を出て、オプションコースとなっている飲食街めざして歩く。日はすでに落ち夕焼け空.亭々と立ち並ぶトウカエデの街路樹が彩り豊かに映える。晩秋の紅葉ひときわ美しいつくば研究学園都市大通りの夕景。筑波山がくつきりと稜線を見せる。桜並本の道に折れ、落葉を踏みながら進む頃は、すでに暗くなり冷えてきていた。中心街に輝くネオン。30分ほどの歩行は、専ら路線バス、ツァーバスの客となったこの日唯一、本来の散策会らしいコースだった。漆野氏予約の蕎麦屋で、恒例の「乾杯」。せっせと歩いた後の生ビールがのどにおみて最高。交歓の愉しいひととき。席上牛島氏から東京国際女子マラソン高橋尚子優勝、ダンロップフェニックスはタイガー・ウッズがプレイオフで横尾を制し2連覇との情報が披露され、話題もさらに弾んだ。次回、師走の深川界隈を歩く散策会での再会を約して散会。6時20分発の上り快速に皆が乗車、TXの時間的な速さと乗り心地を再度確かめたのだつた。

今井 宏  (1957年 文学部 英文卒)