散策会

(第13回散策会)佐倉散策記

日 時 :平成16年7月25日(日)

行 程 : 柏⇒船橋⇒京成船橋⇒京成佐倉駅⇒国立歴史民族博物館⇒武家屋敷⇒麻賀多神社⇒佐倉市立美術館⇒京成佐倉⇒京成成田⇒JR成田⇒柏⇒懇親会

参加者: (写真左から)詫摩・漆野・石橋・山本・榎本(前列)・鈴木・小沼・牛島・秋田谷の9名

「しばらくはこの暑さと晴天は続きそうとのことで、きたる25日も同様な気象情況が予想されます。皆様のコンディション次第で、予定の計画には拘泥せず無理をしないことを第一に散策会の楽しさを損なわないようにしたいと考えています。暑さ対策と水分補給だけは宜しくお願いいたします。」(担当世話人 榎本 右さんからの連絡)

今回の佐倉市散策会の世話役をして頂いた榎本さんからのメールのとおり、朝からぎらぎらと照りつける日差しにもかかわらず、集合時間9時よりやや早めの8時50分過ぎにメンバー9名集合。“高齢者は目覚めが早い”との会話。所定時間より早めに出発。東武野田線船橋から京成本線成田行き快速に乗り換え。電車の進行方向の左手に印旛沼と風車を車窓から見て、まもなく京成佐倉駅に到着。

京成佐倉駅から観光協会で佐倉市の案内パンフレットを入手。国立歴史民族博物館に向かって下見いただいた道順に沿って交通量の少ない道を10分ほど歩き佐倉城址公園入り口に到着。公園は春秋の気候が良い時期であれば散策に最適と思われるも人影がほとんどなし。坂道を登りつめると、日本の歴史と文化について総合的に研究・展示する延べ面積3万5千坪の威容を誇る日本歴史民族博物館(国立博物館)に到着。夏休みの休日であり入館者が多いのではと予想するも人影が少ない。食事時間を含め3時間、自由行動で各展示室を見学。

企画展示は「海をわたった華花」というテーマで辻誠一郎東京大学教授が約1時間30分にわたり各展示品を前に解説。解説内容は「これまで、歴史的に深くかかわってきた植物群はイネやムギのような穀類が中心に据えられてきたが、実際には、アサガオ、ウメやキクなどの花卉園芸植物、ヒョウタンやメロン(いわゆるウリ)、ナスやベニバナなどの果菜類、サトイモやサツマイモなどの根菜類が深くかかわってきた。こうした海をわたった植物群を日本の歴史あるいは生活文化史といった枠組みの中で総合し、日本歴史の新しい視点を見いだそうとするも」であり、力説されたのは、“ヒョウタンは縄文以降の各時代の発掘されたものが時系列的に陳列されるのは画期的なことである。古来ヒョウタンの形状はいわゆる胴のくびれたヒョウタン型でなく楕円や円形のものであった。また、桃の食する部分が「現在の実」ではなく核の中の「実」であったと”いうことであった。

一般展示室は縄文以降の日本人の生活史が体系的に構成され第1展示室は旧石器時代の文化から始まって第5展示室は明治の文明開化から大正の消費生活史という具合に展示室ごとにテーマが設けられていた。各展示とも実物資料に加えて精密な複製品や学問的に裏付けられた復元模型などを展示していた。とくに自由に触れるプラスチックで型をとった複製品も多数あり、小・中学生の勉強の一助に是非見学に訪れることを勧めたい。

 

13時40分博物館を後にし、城址公園の木陰に涼を求めながら最短の道をたどり公園を抜ける。市美術館方面に進み、市民体育館を過ぎた地点から右に入り、車が交差するのが難しいのではないかと思うほどの狭い細い道を約10分歩き「武家屋敷」に到着。「武家屋敷」の両側はお屋敷のような家が多くあり、静かな環境であり往時の姿は斯くのごときかとの感あり。「武家屋敷」は土井利勝が城を構築してから堀田氏に受け継がれた佐倉藩の藩士住居のうち1840年頃に建築されたとされる3軒が移築復元されている。見学者はわれわれ一行と外人ペアーのみ。旧河原家は禄高300石程度の上級武士の住居とのこと。屋敷内へ入ることが出来ず、屋外から住居構造を覗う。旧河原家から50メートルほど離れた旧但馬家(中程度の禄高であったとのこと)および隣接している旧武居家(90石の禄高と記録が残っている)は、受付がなく室内には自由も上がれた。旧但馬家は5部屋、旧武居家は3部屋と身分による格差を明確にしていた。ただ両住居とも細い柱を使用し、長押もなく、畳に縁がある部屋は2~1の質素な造りであった。但馬家では日本茶のセットが置いてありセルフで喫茶も可能。喫茶の結果やや粉の舌触りが残った。

14時20分武家屋敷を出発10分程度で「麻賀多神社」に到着。当神社は、延喜式(延喜式:藤原時平・忠平が延喜(905年)に醍醐天皇の命によって編纂された律令の施行細目)に下総国の印旛郡の一座と記され、既に1000年以上の歴史を有した静かなたたずまいの神社であった。祭神は稚産霊命(ワカムスビノミコト)で、人間や作物の育成、事業の発展にご利益があると記されていた。歴史の古さにかかわらず、由来書に麗々しさがないのはこの神社のたどった歴史になにか理由があるのではないかと推測。知識の持ち合わせがなく残念。

麻賀多神社からしばらく歩くと、蔵と現在建築が妙な取り合わせとなっている地区に出た。周囲の雰囲気とはやや趣の異なる建物である「市美術館」に入館。展示物は佐倉市出身の浅井忠およびその弟子の日本画と油絵、香取正彦等の彫金、堀柳女の衣装人形などが展示されていた。建物の4階で教育普及事業「体感する美術」が開催され、模擬テレビ番組作成のため子供たちが4階から1階まではしゃぎ回り美術館の静かな雰囲気を殺ぐ。集合時間に余裕があり1階の喫茶室でアイスクリームを注文。他のメンバーも順次喫茶室で談笑。

15時30分美術館を出発、これで、お世話していただいた榎本さんがご苦労して作成されたスケジュールを無事完了。若干の涼風を感じながら京成佐倉駅に到着。JR成田駅で20分ほど発車待ちをする間遠雷を聞く。成田線名物の運行停止を危惧するも無事発車し胸をなでおろす。汗にぬれたシャツのため車内の冷房が効きすぎ寒く感ずる。17時30分頃、柏祭りでにぎわう柏駅西口の雑踏を縫い「吉春」の予約の個室に着席。幹事である漆野さん世話人の榎本さんの企画と配慮を感謝しながら、なごやかに懇談・情報交換会を行ない約1時間で解散。(完)

 

 

 

 

 

山本正紀(1964年 商学部卒)