散策会

(第77回)佐倉 散策記

川口 清 (1963年法学部卒)

統計によると11月3日「文化の日」の晴れの確率は70%とのことであるが、今年も朝方までの雨が止んで、快晴、散策日和となった。今回の参加者は総勢15名で飯田さんの奥様が紅一点のご参加。予定時刻に目的地に到着して、散策を開始した。

1.佐倉順天堂記念館
順天堂病院の発祥の地であり、安政6年(1859年)に新築された建物の一部が残っており、千葉県指定史跡となっている。
西洋医学を進んで取り入れようとした佐倉藩主堀田正睦が江戸から蘭学医の佐藤泰然を 招いて開業したとのことである。関所の入口のような門をくぐると玄関があり、すぐに昔の町医者のような畳敷きの待合室があり懐かしい。


・手術道具の7点セット
骨を切断する骨鋸、弾薬など異物を除去する摘出器、
高温で血管を焼き止血する銘鉄が陳列されており、明治初期までは麻酔なしで施術されていたとのこと。助手が患者の身体を押えながら手術をしている絵が掲載されており、迫力十分であった。

・病治定
治療に関する料金表が額に掲載されていた。白内障、乳がん、痔その他の病気など手術の料金一覧表は、保険制度に慣れている我々現代人には新鮮であり、興味深い。(写真は病治定めの一部)

・後継者の選定
初代の泰然は優秀な弟子である尚中を養子にし、後継者とした。実子を後継者とすることにこだわらず、有能な人物を選んだ進歩的な選択は順天堂の発展する一要因になったと言われている。ちなみに尚中の時代に東京にも進出し順天堂医院を開業している。

2.旧堀田邸・さくら庭園
佐倉順天堂記念館から、のどかな郊外を歩いて20分ほどで到着、玄関前
で記念撮影)


(写真 敬称略)
村岡、飯田夫人、近藤、青山、榎本、秋田谷、奈良、飯田
松井、河合、西田、川口、石橋、牛島、

佐倉藩11万石の最後の藩主堀田正倫の邸宅であり、明治23年に竣工、伝統的な和風様式で平成18年に国指定重要文化財に指定。一方庭園も高崎川や対岸台地を借景にし、芝を中心に松や百日紅、梅などの樹木や景石や灯篭を配し、平成27年に国の名勝に指定されている。大河ドラマやTVのロケにも使用されている。


居間棟の1階から2階に登る階段は極めて急角度であるが、手すりはなく、ご当主家族、使用人などはよほど足腰がしかっりしていたのだろうと感心した。今回は特別公開期間中で普段は非公開の書斎棟や居間棟2階を見学することができ大変幸運であった。(写真は2階から庭園を見た景観)

3.甚大寺の墓所
旧堀田邸から歩いて10分ほどで到着。佐倉藩堀田家の菩提寺であり、木立の中に眠る下記三公他累代の墓所を見学した。(県指定文化財)
①堀田正俊(まさとし)公
春日野局の養子となり、5代将軍綱吉の時に大老
②堀田正睦(まさよし)公
学問を奨励し、順天堂を開業させる。筆頭老中となりハリスと日米修好通商条約締結に奔走。
③堀田正倫(まさとも)公
最後の藩主で維新後は伯爵となり華族に列せられる。堀田邸を竣工

見学後20分ほど、「時代まつり」の幟がはためき、歴史と風格を感じる街道を歩いて京成佐倉駅に戻った。
今回の散策は日本の医療の先駆けとなった順天堂の誕生や日本開国に向けて奔走した老中堀田正睦や堀田一族の歴史を肌で知る有意義かつ貴重な散策となった。
最後に散策の企画と道中種々お心配りを頂いた世話人に感謝したい。

以上