俳句の会「交譲葉」30年10月句会報告 |
流山稲門会 俳句の会「交譲葉」30年10月句会報告
- 開催日時 30.10.27(土)10:00~12:00
- 開催場所 生涯学習センター C―201会議室
- 参加者 宮内・小西・漆野・朝倉・青木・小川・森川・菅原・安居の9名(投句は10名)
- 兼 題 兼題「虫」
- 選 句 5点句(1)、4点句(1)、3点句(3)、2点句(7)、1点句(8)を選句した。
(5点句)陽の遊ぶ懐深き秋の山・・・・・・・・・・武 美
(選評)
山の木々が陽の登るにつれて赤や黄色、緑と鮮やかに浮かび上がり秋の色彩の美しさを彷彿とさせてくれる俳句です。錦織りなすという言葉がありますが、自然の色の微妙な色の濃淡に驚かされます。テレビのニュースで行楽地の紅葉が映し出され「これを俳句に出来ないかしら」と悩んでいたので、季節を切り取ったこの俳句に羨ましいと思いました。
(鴇 香子)(4点句)
虫の音のいざなう道や弁財天・・・・・・・武 美
(選評)
あまたの幸せを呼ぶ女神「弁財天」、ここへ導いてくれた蟲の声。
わずか十七文字に表わされた、『素晴らしい小説』になっているといえます。これを機会があれば、自分の空想でさらに発展させることのできる句といえます。素直に次の展開を考えることのできる句です。(青木 艸寛)
(3点句)
飲み歩く巷にも聴く虫の声・・・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
夕餉待つ釜の新米舞踏会・・・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
虫時雨小止みもなしに降り続・・・・・・・・・・・・夢 心
(2点句)
虫鳴きて虫愛ずる姫に想い翔び・・・・・・・・・・・悠閑亭徹心
上京の友とはしごの美術展・・・・・・・・・・・・・小西 小牧
書を開く蟲騒ぐ夜は我も泣く・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
枝離れぼとり拉げる熟柿かな・・・・・・・・・・・・夢 心
秋冷や吾変化球に戸惑いし・・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
萩揺るる尺八の音や子守歌・・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
あわれなり虫の亡骸(なきがら) 枯れ葉なか・・・・・ 松井 敏浩
(1点句)
列島に瓦飛び交う野分かな・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
雨過ぎて露をまといし痩せ野菊・・・・・・・・・・・漆野 達磨
十三夜不完全なり吾がごとし・・・・・・・・・・・・青木 艸寛
秋の蝿手足縮めて朝の窓・・・・・・・・・・・・・・武 美
離(か)れないで友と語りて秋夕焼・・・・・・・・・・菅原 互酬
虫の音や猫の混じりて土手の朝・・・・・・・・・・ 鷹 嘴秋の虫時深まれり声悲し・・・・・・・・・・・・・・松井 敏浩
神無月天平平城(てんぴょうなら)は美の祭り・・・・・松井 敏浩
夜静寂(しじま)鈴虫のソロ鈴々(リンリン)と・・ 悠閑亭徹心
虫の音の未だ届かぬゆふべかな・・・・・・・・・・ 小西 小秋
何処で何処にか盗人萩を連れ帰り・・・・・・・・・・小西 小牧玄関にテナーの如し虫の夜・・・・・・・・・・・・・漆野 達磨
虫の音に聴き間違うかや老いの耳・・・・・・・・・・鴇 香子
ひらひらと京の紅葉足先に・・・・・・・・・・・・・鴇 香子
十余年介護の明け暮れ秋の月・・・・・・・・・・・・鴇 香子
朝まだき空の高みに白き月・・・・・・・・・・・・・夢 心
蟲時雨いよよいよよの恋語り・・・・・・・・・・・・菅原 互酬
黒き雲オスプレイ消え行く秋・・・・・・・・・・・・鷹 嘴
- 句会後記(安 居) 秋も日々深まってまいりました。十月の句会は九名参加、十名分三十句の投句がありました。前回は実験的に兼題三句にしてみましたが、難しいという感想が多かったため元の兼題で一句以上、他当季雑詠の形に戻りました。今回の兼題は“虫”一切、私は三か月ぶりの句会に参加でした。毎度感じていることですが、作者の 思いや選句した人の読み方を聞いてはじめて句の意味するところ、価値を知ることが少なくありません。また何のために俳句を作るのかということも人それぞれであり、興味深く考えさせられます。
上達のためには、なるべく都合をつけて出席したいものです。
さて来月の兼題は“帰り花”、辞書で引くと返り咲きをした花、二度咲きの花、狂い花とあります。
どんな句が出揃うのか今から楽しみですね。 (完)