散策会

(第73回散策会)旧吉田家散策

12月6日、9時40分 つくばエクスプレス柏たなか駅に集合。参加者11名。
駅前で1時間に2本しかない柏駅西口行きのバスを待った。前方に筑波山が見えた。初冬の風が冷たい。
バスに乗ること数分、花野井神社に着いた。そこからあまり整備されていない道を通って旧吉田家住居歴史公園に向かう。2004年に柏市に寄贈され、修理工事の後、2009年に公園として一般公開されたものである。

建物は風格を持ち、豪商でもあり豪農でもある吉田家の性格が色濃く反映された造りとなっている。1831年に建てられた長さ25mの長屋門をくぐると正面に主屋がある。
広い土間を有しており天井は煙を逃がすための吹き抜けになっている。太い松の木の梁が印象的。土間を上がるとミセと呼ばれる帳場座敷があった。穀物商でもあり醸造家でもあった商人としての生活がうかがわれる場所である。

主屋から渡り廊下を通って書院に向かう。主屋と同じ1854年に建てられたというが主屋とは全く異なった雰囲気を持っている。3方向に縁側を置く設計で、吉田邸の中では唯一開放的な空間であった。座敷を取り囲む欅の回廊が美しい。木目が全て中央に置かれ細かい部分へのこだわりが感じられた。
主屋は野田の職人、書院は柏の職人の手によるものという。江戸時代の建築物で長い年月を経ているにもかかわらず寸分の狂いもなく現存している住居、材質もさることながら当時の職人の腕の確かさにお驚きを禁じえない。

生活様式の全く違う現代においては、この様な住居を建てる機会はないと思われる。そしてなによりも、この様な技術を持つ職人は居ないであろう。
時間が止まっているかの様な不思議な空間であった。
一つの時代の最高の作品として、これからもずっと保存していってほしいと思った。
(完)
(ドローン空撮)
http://former-yoshida.jp/2015/06/23/news-2/

土屋みゆき(1973年 教育学部卒)