駅シネマ同好会

駅シネマ同好会で『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観ました

2016年 10月 18日

駅シネマ同好会で『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観ました
~嶋沢 伶衣子(1981年文学部卒)



*2016年10月9日(日)、駅シネマ同好会の第38会映画鑑賞会で、『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観ました。今回は、菅原・内木・江後田・宮内・鈴木・嶋沢 (敬称略)の 6名が参加しました。
幻想的かつ問題提起的な作品で、ネット社会の弊害についても考えさせられました。帰りにファーストフード店に寄って、駅シネマの会の皆さんと 映画の感想を語り合いました。

◎『リップヴァンウィンクルの花嫁 』スタッフ・俳優
岩井俊二~監督・原作・脚本
黒木華~皆川七海(主人公)
毬谷友子~皆川晴海(主人公の母)
金田明夫~皆川博徳(主人公の父)
綾野 剛~安室行舛(何でも屋)
Cocco~里中真白(AV女優)
りりィ~里中珠代(真白の母)
地曵 豪~鶴岡鉄也(七海の結婚相手)
原日出子~鶴岡カヤ子(鉄也の母)

◎ 『リップヴァンウィンクルの花嫁』ストーリー( Spoiler alert! )
*2016年、東京の片隅で生きていた派遣教員の七海(黒木華)は、出会い系サイトで知り合ったマザコン男の鉄也(地曵 豪)と結婚する。七海の父母は離婚していて、式に参列できる身内や友人も少ないため、挙式の”代理出席者”を「なんでも屋」のアムロ(綾野剛)に依頼する。

*新婚早々、鉄也の浮気疑惑が浮上して、七海はアムロに調査を頼む。けれども、「別れさせ屋」が介入し、鉄也の母からも浮気の罪を被せられて、七海は着のみ着のまま、家を追い出される。

*金銭的にも精神的にも追い詰められた彼女に、アムロは仕事を斡旋していく。結婚式の代理出席者のバイト、ホテルの清掃員、そして 月収100万円貰える住み込みメイドのバイト。住み込み先の「お館」で、七海はAV女優の真白と親し
くなり・・・(以下略)

◎ 『リップヴァンウィンクルの花嫁』~ 私的解釈

*駅シネマ鑑賞会でこの映画を観た時、私は 辛く切なく居た堪れない気持ちになりました。ネット依存に陥った 哀れで無防備な主人公の姿が、残酷なまでに描写されていると思ったからです。

・・・けれども、毎日 胸の中で反芻していたら、日を追うごとに “ポジティブに解釈”するようになりました:主人公の七海は、ネットでワンクリックで見つけた彼氏と結婚しますが、浮気の濡れ衣を被せられ 離婚させられて、路頭に迷いました。
この辺から彼女は壊れてしまい 厳しい現実を直視できくなって、時々 ”幻想”の世界に逃避して、癒しや修復を求めたのではないでしょうか??

・・・新宿や渋谷などのシーンでは、七海の意識がハッキリしていて 現実認識ができていた様に思います。デパートやスクランブル交差点など街の映像も鮮明で、人や車が行き交う「日常」が映し出されていました。

・・・けれども、彼女がメイドとして雇われた謎のお屋敷や 毒魚のいる水槽群や ウェディングドレスショップ等は 非現実的かつ幻想的で、七海の「心象風景」の様でした。七海は、真白と2人だけの世界に入り込んで、そこで心の傷を治していたのかもしれません。

・・・白いエプロンを付けたメイド姿の七海は とても暗示的で、『不思議の国のアリス』を連想させます。七海は、アリスの様にお伽の国にタイムスリップして、そこで心身を休めてから、現実の世界に還ったのでしょうか?

・・・真白と心中を図った七海が息を吹き返した時、一条の光がパーッと差し込みました。心機一転して出直せそうな感じのする、心地いいエンディングでした。

【追記】
映画タイトルの『リップヴァンウィンクル』を調べてみました。 “Rip vanWinkle”は、アメリカ版「浦島太郎」的な短編で、森鴎外が翻訳した時は、『新世界の浦島』という邦題を付けたそうです。また、アメリカの雑誌に日本の『浦島太郎』の英訳を発表した片岡政行は、題名を”Urashima : A Japanese Rip van Winkle”と付けたそうです。

◎ 駅シネマ同好会の皆さま、これからも一緒に映画を観て語り合いたいので、宜しくお願いします。「お勧め」の作品がありましたら、教えて下さいね。m(_ _)m
新規入会者も募集中ですので、お気軽にお問合せ下さい。m(_ _)m
Tel: 080-1123-8222 E-mail: cosmo_reiko_0915@yahoo.co.jp

駅シネマ同好会:嶋沢 伶衣子(しまざわ れいこ)

( 完 )